google-site-verification=tSMQ4FQhFx1RDsDFsOm7hyKcAa8tJgpr-DpePxzfGzM 有効求人倍率1.18倍は、ハローワークの窓口で数えた数字。民間の職業紹介や民間求人サイトだけに出た求人は入っていない | 見出しの手前

有効求人倍率1.18倍は、ハローワークの窓口で数えた数字。民間の職業紹介や民間求人サイトだけに出た求人は入っていない

10月、厚生労働省は公表しました。報道発表資料の1行目はこうです。

令和8月の有効求人倍率は1.18倍で、前月と同水準。

同じ日の共同通信の配信記事は見出しを立て、本文で有効求人倍率を説明しています。この説明は正確です。ただ、見出しの数字だけを読むと受け取れます。

原資料をたどると、この倍率の分子と分母はどちらもハローワークの窓口を通ったものに限られます。民間の職業紹介会社や民間の求人サイトだけを通った求人も求職者も、どちらにも入りません。同じ求人がハローワークにも出されていれば、その分は数えられます。この記事では、その範囲がどこで決まっているかを、厚労省と総務省の公表資料から書き出します。

何が報じられたか

8月分の報道発表資料によると、有効求人倍率1.18倍で前月と同水準、新規求人倍率2.06倍で前月より0.04ポイント低下しました。正社員の有効求人倍率1.00倍です。前年同月の8月は1.21倍でした。

都道府県別では、資料は2種類の倍率を並べています。就業地別では最高が福井県の1.72倍、最低が大阪府の0.95倍。受理地別では最高が東京都の1.70倍、最低が神奈川県の0.83倍です。共同通信の配信記事は就業地別の福井と大阪を取り上げ、熊本を1.31倍としています。この1.31倍も就業地別の値で、報道発表資料の第6表-1と一致します。

同じ日、総務省統計局は労働力調査の8月分を公表しており、完全失業率2.5%で前月より0.1ポイント上昇しました。求人倍率と失業率は同じ日に並んで報じられることが多いですが、作っている役所も、数えている対象も違います。

原典に当たる

厚労省の統計の概要は、この統計の目的を次のように書いています。

本調査は、公共職業安定所における求人、求職、就職の状況取りまとめ、求人倍率等の指標を作成することを目的とする。

、アンケートで集める調査ではなく、ハローワークの業務の記録を集計した業務統計です。数えているのは、ハローワークが受け付けた求人と求職だけです。新規学卒者も除かれています。

用語の解説では、有効求人倍率を除したもの、と定義しています。2つの数の中身は次のとおりです。

項目 厚労省の定義 8月の原数値
月間有効求人数 前月から繰り越された未充足の求人数と、当月の新規求人数の合計。新規求人数は採用予定人員で数える 2,227,740人
月間有効求職者数 前月から繰り越された就職未決定の求職者数と、当月の新規求職申込件数の合計 1,924,184人
有効求人倍率 上の2つの比 1.16倍

分子はではなく採用予定人員です。1枚の求人票で3人を募集していれば3と数えます。また、求人票と求職票には有効期限があり、期限内で決まっていないものは翌月に繰り越されます。8月の新規求人数718,656人に対して、就職件数はで、充足率10.2%でした。有効求人数は、毎月の新しい求人に、まだ埋まっていない求人が積み重なった数です。

分母の求職者の定義には、いう条件がありません。ここが総務省の完全失業者と違う点です。労働力調査の解説によると、完全失業者は、調査週間中に仕事を少しもしなかったこと、仕事があればすぐ就けること、求職活動をしていたこと、の3つを満たす人です。求職活動にはハローワークへの申込みのほか、求人サイトを見ての応募や知人への依頼も含まれます。8月の完全失業者は180万人、ハローワークの月間有効求職者は約192万人で、規模は近いものの、別の範囲を数えた別の数です。

もう1つ、範囲の変更があります。報道発表資料の注記によると、9月以降の数値には、ハローワークに来所せずオンラインで求職登録した人や、ハローワークインターネットサービスの求人に直接応募した就職件数などが含まれています。同じでも、入口の広さが途中で変わっています。

報道との差分

ハローワークを通らない求人と求職がどれくらいあるかは、厚労省の別の資料で確認できます。職業紹介事業者は、職業安定法にもとづいて毎年度の運営状況を厚生労働大臣に報告しており、その集計がです。3月に公表された令和度分の速報と、同じ年度のハローワークの数字を並べます。

度 ハローワーク 民営職業紹介事業所
求人 新規求人 月平均829,343人 常用求人 約1,789万人
就職 就職件数 月平均 常用就職 約92万件
有効求人倍率への算入 入る 入らない

12倍した値は筆者の計算です。この2列は同じ物差しではありません。ハローワークの値は臨時・季節の仕事を含み、民営の値は常用に限っています。民営の集計結果は、求人者も求職者も複数の事業者を使うことがあるため注記しています。そのため求人の数を直接比べることはできません。それでも、民営の職業紹介を通じた常用の就職は約92万件で、ハローワークの年間就職件数と同じ桁にあります。これらの就職は、有効求人倍率の分子にも分母にも入っていません。民間の求人サイトに直接応募して決まった就職は、この両方の資料のどちらにも出てきません。

民間にもあります。転職サービスのdodaは毎月公表しており、7月分は2.71倍でした。dodaはこの数値を、会員登録者に対して中途採用の求人が何件あるかを算出したもの、と説明しています。同じ7月のハローワークの有効求人倍率は1.18倍です。名前は似ていますが、分子も分母も別の集団で、2つの数字の差はではなく差です。

求人倍率は、職業によっても大きく分かれます。8月の参考統計表では、職業計の有効求人倍率1.06倍に対して、一般事務従事者は0.29倍、建築・土木・測量技術者は5.71倍、社会福祉専門職業従事者は2.50倍でした。見出しの1.18倍は、これらをすべて合わせた平均です。

なぜそうなったか

範囲がハローワークに限られるのは、この統計が業務の記録だからです。調査票を配って集めるのではなく、窓口で受け付けた求人票と求職票を数えているので、窓口を通らないものは最初から存在しません。統計の目的にも書かれています。その代わり、毎月、全国の数字が職業別・地域別に細かく出せます。8月の参考統計表には職業の小分類ごとの倍率まで並んでおり、この細かさは業務統計ならではです。

都道府県別の倍率が2種類あるのも、同じ仕組みから来ています。厚労省の労働市場分析レポート第32号によると、企業によっては本社所在地のハローワークに地方支社の求人も一括して出すため、求人を受理した都道府県と実際の就業地が違う場合があります。同レポートの試算では、度の東京の倍率は受理地別1.40倍に対して就業地別1.05倍でした。8月も、東京は受理地別1.70倍、就業地別1.07倍、神奈川は受理地別0.83倍、就業地別1.02倍です。どちらの系列を選ぶかで、都道府県の順位が入れ替わります。

なお、就業地別も完全にではありません。同レポートの注記によると、就業地別でも有効求職者数は求職を受理したハローワークの所在地で集計しています。分子は職場の場所、分母は申し込んだ窓口の場所で数えた比です。

季節調整値は、毎年改定されます。報道発表資料によると、季節調整法はセンサス局法Ⅱ、12月以前の数値は1月分の公表時に新しい季節指数で改定されています。過去の記事に書かれた倍率と、いま公表資料で見る同じ月の倍率が、小数第2位で食い違うことがあるのはこのためです。

分からなかったこと

入職者全体のうちハローワーク経由が何割かを示す数字は、今回たどれていません。厚労省の雇用動向調査は入職経路を調査項目に含んでいますが、令和調査の結果の概要には経路別の集計表がなく、e-Statの該当表も今回の取得では特定できませんでした。ハローワークの有効求職者のうち、仕事を持ちながら登録している人がどれだけいるかも、8月分の公表資料からは確認できていません。また、dodaの転職求人倍率が季節調整をしているかどうかは、公表ページの説明からは読み取れませんでした。

出典

一次情報

報道

同じカテゴリの記事:実質賃金数え方/平均貯蓄は単身世帯を数えず、借入も引いていない/数え方

コメント

タイトルとURLをコピーしました