google-site-verification=tSMQ4FQhFx1RDsDFsOm7hyKcAa8tJgpr-DpePxzfGzM 相対的貧困率は15.0%と11.3%。同じ2024年の所得を国の統計2つが測り、貧困線も138万円と152万円に分かれた | 見出しの手前

相対的貧困率は15.0%と11.3%。同じ2024年の所得を国の統計2つが測り、貧困線も138万円と152万円に分かれた

7月、厚生労働省は国民生活基礎調査の結果を公表し、の相対的貧困率を15.0%としました。同じ年の8月、総務省統計局は全国家計構造調査の結果を公表し、相対的貧困率を11.3%としました。どちらもOECDの作成基準に沿って計算した、ほぼ同じ間の所得の数字です。この記事では、2つの数字がそれぞれ何を数えているかを資料から書き出します。

何が報じられたか

厚生労働省の報道発表資料は、相対的貧困率15.0%、子どもの貧困率11.0%挙げています。

時事ドットコムは公表当日、いう見出しで伝えました。確認できた本文は平均所得と生活意識が中心で、相対的貧困率の数値は見当たりませんでした。リセマムは翌、書き、子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の世帯員の数字を紹介しています。

総務省の11.3%を見出しに取った報道は、検索した範囲では見つかりませんでした。相対的貧困率として広く引用されるのは、厚生労働省の数字のほうです。

原典に当たる

15.0%の作り方

厚生労働省の用語の説明によると、相対的貧困率は、貧困線はです。手順は次のとおりです。

  • 世帯の所得から所得税・住民税・社会保険料・固定資産税・自動車税等を差し引き、手取りに当たる可処分所得を出す
  • その額を世帯人員の平方根で割り、等価可処分所得にする。所得のない子どもを含め、世帯員全員に同じ額が割り当てられる
  • 全員を並べた中央値の半分を貧困線とし、それに届かない人の割合を出す

の中央値は、貧困線はでした。平方根で割る理由について、厚生労働省のよくある質問は、世帯人員が少ないほど生活コストが割高になることを挙げています。光熱費のように家族で分け合える費用があるため、4人世帯の手取りを4で割ると暮らし向きを低く見積もりすぎる、という考え方です。

所得の調査は7月に行い、尋ねたのは前年間の所得です。そのため調査の貧困率は数字になります。所得票は約3万世帯を対象に配られ、調査客体27,901世帯のうち回収は17,500世帯、集計に使われたのは16,921世帯でした。貧困率はごとの大規模調査の年にしか集計されません。

11.3%の作り方

総務省の全国家計構造調査も、等価可処分所得の中央値の半分を貧困線とする点は同じです。調査は10月と11月に約9万世帯を対象に行い、年間収入は11月から10月までの間を尋ねています。中央値は、貧困線はでした。

作り方で目立つ違いは、税と社会保険料の扱いです。総務省のには、税・社会保険料は調査票で調べていないため、世帯票などの項目から世帯ごとに推計したと書かれています。厚生労働省の所得票は、調査事項に含んでいます。手取りを出すための引き算を、片方は世帯に尋ね、片方は計算で置いているということです。調査の対象からは、外国人の二人以上世帯や学生の単身世帯などが外されています。

報道との差分

2つの調査を並べると次のようになります。

国民生活基礎調査 全国家計構造調査
公表日 7月 8月
所得の期間 10月
規模 所得票 約3万世帯 約9万世帯
税・社会保険料 課税等の状況を調査 世帯ごとに推計
中央値/貧困線 / /
相対的貧困率 15.0% 11.3%
子どもの貧困率 11.0% 8.3%

水準の差は3.7ポイントです。人数の言い方に直すと、15.0%はおよそ7人に1人、11.3%はおよそ9人に1人になります。

前回からの動きも揃っていません。厚生労働省は0.4ポイント低下、総務省は0.1ポイント上昇でした。比べている前回の年が違うので、期間をそろえるために厚生労働省の並べてみます。の15.7%からの15.0%へ0.7ポイント下がっており、総務省のからへの0.1ポイント上昇とは、やはり向きが逆です。子どもの貧困率は両方とも下がりましたが、厚生労働省はから3.0ポイント、総務省はから2.0ポイントでした。

報道のほうで差が出ていたのは、言葉の置き換えです。リセマムのについて、厚生労働省のよくある質問は、には祖父母と子ども、18歳以上の兄姉と子どもといった世帯も含まれ、とは限らないと答えています。

貧困線の金額にも置き換えが起きます。あんしん財団の11月の記事は、前回の貧困線を書きました。資料上のは、税と社会保険料を引いた手取りを平方根で割った額です。1人世帯なら手取り、額面の年収はそれより上になります。世帯人員が増えると、貧困線に当たる世帯の手取りは平方根の倍率で上がります。ので計算すると、2人世帯は、3人世帯は、4人世帯はです。

なぜそうなったか

2つの調査の差は今回が初めてではありません。内閣府・総務省・厚生労働省は12月、両調査の相対的貧困率を比べた分析を共同で公表しています。当時の値は、全国消費実態調査が10.1%、国民生活基礎調査のが16.1%でした。

この分析によると、全国消費実態調査は40歳未満の世帯や単身世帯が多く、国民生活基礎調査は高齢者世帯や郡部・町村の世帯が多いという違いがありました。ただ、年齢や世帯類型の構成をもう一方の調査に合わせて計算し直しても、全国消費実態調査は、国民生活基礎調査はで、差はほとんど縮まりませんでした。ヒアリングを受けた有識者からは、差には回収率、調査系統、対象母集団、標本の復元・補正方法といった統計技術上の違いが影響している可能性が挙がっています。分析のまとめには、総じて全国消費実態調査で収入の低い世帯が少なく、国民生活基礎調査で多いと書かれています。

同じ分析には、どちらの水準が正しくてどちらが正しくないとはいえない、という有識者の評価も載っています。そのうえで、両調査の変化の方向が同じことを踏まえ、両方をもとに傾向を見ればよいとしていました。の結果は、この前提に当てはまっていません。全体の相対的貧困率は、厚生労働省では下がり、総務省ではわずかに上がりました。どちらの動きが実態に近いかを判断する材料は、今回の資料には載っていません。

資料からいえるのは、相対的貧困率はなので、低所得の人の数だけでなく、真ん中の人の所得の動きにも左右されるということです。厚生労働省の中央値はからにからへ上がり、貧困線もそれに合わせてからに上がりました。物差しそのものが毎回動いているため、率の上下だけでは、低所得の人の暮らしが良くなったのか悪くなったのかまでは分かりません。総務省は資産を加えた指標も出しており、所得が貧困線未満で、かつすぐ使える金融資産が貧困線の25%未満の人は4.2%でした。厚生労働省のよくある質問は、同省の相対的貧困率では資産の多寡を考慮していないと書いています。

分からなかったこと

の2つの調査で動きの向きが分かれた理由を説明した公式の資料は、見つけられませんでした。の共同分析のような比較が、その後の調査年について行われたかどうかも確認できていません。

総務省の11.3%を伝えた報道は、検索した範囲では見つかりませんでした。報道がなかったと断定はできません。時事ドットコムの記事に相対的貧困率が書かれていないのは確認できた本文の範囲での話で、紙面版など別の版の内容は確認していません。厚生労働省の集計客体16,921世帯に対し、総務省の所得分布の集計に使われた世帯数は、今回読んだ資料の範囲では確認できませんでした。

出典

一次情報

報道・解説

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