google-site-verification=tSMQ4FQhFx1RDsDFsOm7hyKcAa8tJgpr-DpePxzfGzM 物価上昇率1.7%を家計の実感と比べたい人へ。同じ8月の発表には1.6%から2.2%まで6つの系列が並んでいる | 見出しの手前

物価上昇率1.7%を家計の実感と比べたい人へ。同じ8月の発表には1.6%から2.2%まで6つの系列が並んでいる

9月、総務省統計局は公表しました。公表ページの冒頭には、3つの数字が並んでいます。

総合指数はを100として102.2 前年同月比は1.9%の上昇/生鮮食品を除く総合指数は102.0 前年同月比は1.7%の上昇/生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は102.5 前年同月比は1.9%の上昇

同じ朝の報道の見出しはでした。3つのうち、真ん中の数字です。この記事では、呼ばれる数字が何を数えたものか、どこで分かれるのかを、統計局・日本銀行・厚生労働省の公表資料から書き出します。

何が報じられたか

共同通信の配信記事見出しを立て、本文で前年同月比1.7%上昇したこと、2%を下回るのは8カ月連続であることを伝えています。ロイターの記事見出しは、リードで断り、第2段落で総合1.9%と1.9%に触れています。

どちらの記事も、本文ではどの系列の数字かを書いています。ただ、見出しだけを読むと受け取れます。統計局の、書いています。見出しの1.7%は、その総合ではありません。

原典に当たる

消費者物価指数は、家計が買う財とサービスのうち、基準で589品目の価格を、家計の支出割合重みづけして平均したものです。ウエイトは総合を10000として配分されています。系列は、この10000から特定の品目を抜いて計算し直したものです。8月分の冊子の第2表には、次の系列が並んでいます。

系列 ウエイト 8月の前年同月比
総合 10000 1.9%
生鮮食品を除く総合 9621 1.7%
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 8872 1.9%
食料及びエネルギーを除く総合 6609 1.6%
持家の帰属家賃を除く総合 8366 2.2%
持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合 7987 2.0%

同じ月、同じ価格調査から出た数字が、抜く品目の違いだけで1.6%から2.2%まで分かれています。

なぜ抜くのかについて、統計局のQ&Aこう説明しています。生鮮食品は天候要因で値動きが激しく、エネルギー海外要因で変動する原油価格の影響を直接受ける。これらを除くことが。食料エネルギーを除く系列は、アメリカなどで重視される指標と同じ考え方のもので、米類や菓子類も含め、酒類以外の食料をすべて抜いています。

呼び名についても、同じQ&Aに注記があります。呼ばれる場合がある一方、生鮮食品のほかにエネルギーなどを除く様々な指標に様々な名称が使われているようなので、利用する際は定義を確認してほしい、という書き方です。統計局が定めた名前ではありません。

表の下2行の、持ち家に住む世帯が、その家を借りていると仮定した場合に払うはずの家賃です。実際にはお金が動いていませんが、住宅サービスの費用として総合に入っており、ウエイトは1634、総合の約16%を占めます。価格の動きには民営借家の家賃の動きを当てており、8月の前年同月比は0.5%でした。これを抜くと、上昇率は2.2%になります。

報道との差分

どの系列を取るかで、同じ月についての言い方が変わります。冊子の表1から、2%を下回った月が何か月続いているかを数えると、次のようになります。

系列 8月 2%未満が続いている月数
総合 1.9% 8か月
生鮮食品を除く総合 1.7% 8か月
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 1.9% 5か月

共同通信の生鮮食品を除く総合で数えたもので、表と一致します。生鮮食品とエネルギーを除く系列は3月まで2.4%あり、こちらで数えると5か月です。

8月にコアだけが低く出た理由は、冊子の内訳から読み取れます。生鮮食品は前年同月比6.0%上がっており、これを抜くと上昇率は下がります。一方、エネルギーは0.7%下がりました。参考資料は電気代の下落要因として開始などを挙げ、ガソリンの暫定税率廃止と政策による効果の寄与度を、エネルギー全体で−0.62と試算しています。値上がりした生鮮食品を抜き、値下がりしたエネルギーを残した系列がコアなので、3つの中でいちばん低くなりました。

系列の使い分けは、報道だけの話ではありません。使う側によって、採っている系列が違います。

使う側 資料に書かれている系列
年金額の改定 条文は。厚労省の令和度改定の発表は明記し、物価変動率を3.2%としている
日本銀行の物価見通し 、参考として。総合の見通しは表に無い
実質賃金 実質化し、国際比較のためにでも計算
統計局の参考資料 表題は総合と生鮮食品を除く総合の2つ。長期グラフは生鮮食品を除く総合

の年平均で見ると、総合3.2%、生鮮食品を除く総合3.1%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合3.0%でした。年金の改定に使われたのは、このうち総合の3.2%です。

なぜそうなったか

報道がコアを見出しに取ることについて、資料から言えるのは、コアが政策の議論で中心に置かれている系列だということです。日本銀行の展望レポートで政策委員が出す物価見通しは示されており、統計局自身も参考資料の長期グラフにこの系列を使っています。共同通信は8月の東京都区部の記事で、生鮮食品を除く総合の1.8%を並べています。

ただし、日銀の目標の文言そのものは系列を指定していません。1月の政府・日銀の共同声明は書いており、同日の日銀の文書もするだけです。目標を総合で測るのか、コアで測るのかは、今回取得した文書からは読み取れませんでした。

1つに決まらないのは、使う目的が違うからです。年金は物価変動に応じて実質的な給付水準を見直す仕組みで、品目を抜かない総合を使っています。物価の流れを見たい側は、天候や原油で一時的に動く品目を抜いた系列を使います。実質賃金は、実際にお金を払って買うものに限るという理由で、払っていない帰属家賃を抜きます。どれも統計局が公表している正規の系列で、どれかが正しく、どれかが誤りというものではありません。

家計の実感と比べたい場合、統計局の、人々の生活実感は毎日買うものの値動きに引きずられがちだと書いています。そのため、必需品かどうかで分けた指数や、購入頻度で分けた指数も作られています。8月の冊子でも、財は2.6%、サービスは1.2%と、モノの値上がりのほうが大きく出ています。

なお、全国の指数は7月分から基準に切り替わっています。統計局のQ&Aによると、6月分の総合の前年同月比は、新旧の基準で0.1ポイント下方に改定されました。基準改定の前に書かれた記事の数字と、いま公表資料で見る同じ月の数字が一致しないことがあります。

分からなかったこと

日銀のどの系列で測るかを明記した一次資料は、今回たどれていません。毎月勤労統計の7月分速報、参考として総合の前年同月比を2.0%と載せていますが、統計局が8月に公表した7月分の総合は1.9%です。この0.1ポイントの差がどこから来るのかは、どちらの資料からも確認できませんでした。購入頻度別や基礎的支出項目別の8月の値は冊子に載っておらず、e-Statの表も今回は取得していません。9月分の全国指数は10月に公表される予定です。

出典

一次情報

報道

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