2026年10月5日、ベースボールチャンネルが今オフの去就が注目される投手6人を並べた記事を出しました。
その1人が広島東洋カープの床田寛樹投手です。
記事は床田投手を「今オフのFA市場で最大の目玉」になり得ると書いていますが、床田投手が国内FA権をいつ取得するのかは本文に書かれていません。
この記事では、見出しが前提にしている「FA権」が何で決まるのかを日本野球機構(NPB)の公表資料から確かめ、記事の数字と照らし合わせます。
何が報じられたか
ベースボールチャンネルは2026年10月5日に「“投手FAラッシュ”になる!?」という見出しの記事を公開しました。
6ページの構成で、1ページに1人ずつ取り上げています。
取り上げられたのは森下暢仁投手(広島)、星知弥投手(ヤクルト)、加治屋蓮投手(楽天)、床田寛樹投手(広島)、小島和哉投手(ロッテ)、田嶋大樹投手(オリックス)の6人です。
床田投手のページには、2016年ドラフト3位で広島に入団したこと、2023年に初めて2桁勝利を挙げたこと、2025年の成績が26試合登板・171回1/3・9勝12敗・防御率3.15だったこと、2026年は開幕投手を務めたことが書かれています。
そのうえで「最大の目玉となり得る存在」と評価しています。
ほかの選手のページと比べると違いがあります。
星投手のページには「国内FA権を取得」、田嶋投手と小島投手のページには「2026年は国内FA権を取得」にあたる記述があります。
加治屋投手のページにも、FA権の取得要件を満たしていると書かれています。
床田投手のページには、取得した、あるいは取得する見込みだという記述がありません。
原典に当たる
FA権の要件は、NPBの「フリーエージェントについて」という告知ページに書かれています。
要点は次の3つです。
- セ・パ両リーグの公式戦の期間中に、出場選手登録が145日以上あったシーズンを1シーズンと数える。
145日に満たないシーズンは日数を合算し、145日に達したところで1シーズンとする
- 合計8シーズンで国内FA権を取得する。
ただし、2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人出身の選手は7シーズンで取得する
- 合計9シーズンで海外FA権を取得する
権利を使うかどうかは、日本シリーズが終わった翌日から土日祝日を除く7日以内に表明すると定められています。
つまりFA権は、登板数や成績ではなく、出場選手登録の日数で決まります。
床田投手は2016年ドラフトで入団しています。
ベースボールチャンネルの記事にある経歴は中部学院大なので、この規定どおりなら7シーズンで国内FA権に届く区分です。
次に、NPBが毎年公示している「フリーエージェント有資格選手」の名簿を見ます。
2025年度の名簿は2025年10月22日に公示され、国内FA権の保有者が38名、海外FA権の保有者が66名載っています。
広島の欄に大瀬良大地投手や菊池涼介選手の名前はありますが、床田投手の名前はありません。
2025年のシーズンを終えた時点では、床田投手は国内FA権を持っていなかったことになります。
成績はNPB公式サイトの選手ページで確かめました(2026年10月7日現在)。
2025年は26試合・171回1/3・9勝12敗・6完投・3完封・102奪三振・防御率3.15で、記事の数字と一致します。
2026年は23試合・143回1/3・8勝6敗・84奪三振・防御率2.76です。
2023年と2024年はどちらも11勝でした。
なお、このページに2018年の成績の行はありません。
報道との差分
記事とNPBの資料を項目ごとに並べます。
| 項目 |
ベースボールチャンネル(2026年10月5日) |
NPB公表資料 |
| 2025年成績 |
171回1/3・9勝12敗・防御率3.15 |
同じ(選手ページ・10月7日現在) |
| 2026年成績 |
23試合・143回1/3・8勝6敗・防御率2.76 |
同じ |
| FA権の取得状況 |
記載なし(「最大の目玉」と評価) |
2025年度の有資格者名簿に名前なし。 2026年度の名簿はまだ公示されていない |
| FA権の要件 |
記載なし |
出場選手登録145日を1シーズンとし、大学・社会人出身は7シーズン |
成績の数字は原典と一致しています。
差があるのは、見出しの「FAラッシュ」を支える一番の前提である権利の取得状況です。
6人のうち4人のページには取得状況が書かれていますが、床田投手のページにはありません。
見出しと6人という並べ方からは、6人全員が今オフに権利を持つように読めます。
しかし床田投手については、本文からもNPBの公示済み資料からも、それを確かめることはできません。
なぜそうなったか
資料の仕組みを見ると、差が出た理由として2つの構造が考えられます。
1つ目は、権利の判定に使う数字が公開されていないことです。
FA権は出場選手登録の日数で決まります。
登録と抹消はNPBが公示していますが、選手ごとの累計日数やシーズン数を一覧にした公式の表は、今回見た範囲では見つかりませんでした。
登板数や投球回は選手ページで誰でも確かめられますが、登録日数は外部から足し上げるしかありません。
このため、記事が取得時期を断定する根拠を持っていなかった可能性があります。
ただし、資料からは記事の作り手の判断までは確認できません。
2つ目は公示の時期です。
NPBの有資格者名簿は、2025年度の場合10月22日に出ています。
記事が出た10月5日は2026年度の名簿が出る前で、取得したかどうかを公式資料で確定できる時期ではありません。
記事が取得状況を書いた4人と書かなかった床田投手の差は、入団年や経歴から機械的に判定できるかどうかの差とも考えられますが、これも資料からは確認できない推測です。
読む側としては、「目玉になり得る」という評価は、成績(原典と一致)と権利の有無(未確定)という性質の違う2つの判断を合わせたものとして分けて読むのが正確です。
分からなかったこと
床田投手の出場選手登録日数の累計は、公式の集計を見つけられませんでした。
そのため、2026年のシーズン終了時点で7シーズンに届くかは判断できません。
NPB選手ページに2018年の行が無い理由も、このページからは分かりません。
記事にある「リーグトップの6完投3完封」のうち、リーグ順位はNPBのリーグ別個人成績と照らし合わせていません。
2026年度のFA有資格者名簿が公示されたら、この記事を更新します。
出典
- 日本野球機構「フリーエージェントについて」 https://npb.jp/announcement/2019/fa_about.html
- 日本野球機構「フリーエージェント有資格選手」(2025年度・2025年10月22日公示) https://npb.jp/announcement/2025/fa_qualified.html
- 日本野球機構「2025年度フリーエージェント有資格選手名簿公示」2025年10月22日 https://npb.jp/news/detail/20251022_03.html
- 日本野球機構 選手ページ「床田寛樹(広島東洋カープ)」2026年10月7日現在 https://npb.jp/bis/players/11415134.html
- ベースボールチャンネル「“投手FAラッシュ”になる!? プロ野球、2026年オフの去就が注目される主戦投手6人」2026年10月5日 https://www.baseballchannel.jp/npb/293714/ (床田投手の項は https://www.baseballchannel.jp/npb/293714/4/)
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。
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