2026年9月27日、「FIFAランキングで新たな順位変動、クロアチアがドイツを抜く」という見出しの記事がdメニューニュースに配信されました。
ただ、FIFAが最後に公式ランキングを発表したのは7月20日で、次回の発表は10月7日の予定です。
記事の順位とポイントは、FIFAの算出式に9月の試合結果を当てはめた非公式のライブ試算でした。
本記事では、記事の数字がどこから来たのかを公式発表の値と並べて確認します。
何が報じられたか
フットボールチャンネルが配信し、dメニューニュースに転載された2026年9月27日付の記事の要旨は次のとおりです。
クロアチアがUEFAネーションズリーグでチェコに2-1で勝ち、12位に上がりました。
ドイツは13位に下がりました。
日本代表は17位で1678.30ポイントです。
15位のイタリアはベルギーに0-2で敗れて6.45ポイントを失い、1698.29ポイントになりました。
日本との差は26.44ポイントから19.99ポイントに縮まっています。
16位のアメリカはペルーに4-1で勝って2.91ポイントを加え、1693.24ポイントになりました。
日本との差は12.03ポイントから14.94ポイントに広がっています。
記事は、これらの数字を「ライブ更新」の順位として示しています。
ただし見出しの「新たな順位変動」だけを読むと、FIFAが新しいランキングを発表したように受け取れます。
この点が本記事で確かめる対象です。
原典に当たる
FIFAの男子世界ランキングの公式ページ(inside.fifa.com)には、2026年9月28日時点で「最終公式更新:2026年7月20日」「次回公式更新:2026年10月7日」と表示されています。
同じページには、国際Aマッチの扱いから外れた試合はランキングの計算に入らないこと、公式の試合期間の外で行われた試合はその期間が終わるまで反映されないことも書かれています。
つまり9月の試合結果は、10月7日の発表まで公式の数字になりません。
算出方式について、FIFAの手続き説明ページには、FIFA評議会の承認を受けて2018年8月から新しいモデルが使われていること、そのモデルは試合ごとに得失したポイントを前回の合計に足し引きするため「SUM」と呼ばれることが書かれています。
式の細部はFIFAのPDF文書「Revision of the FIFA/Coca-Cola World Ranking」に載っていますが、本記事ではその文書を直接開けていません。
英語版ウィキペディアはこの文書を出典として、次の内容を示しています。
試合後のポイントは「P = 試合前のポイント + I ×(W − We)」で計算します。
Wは試合結果で、勝ちが1、引き分けとPK戦負けが0.5、PK戦勝ちが0.75、負けが0です。
Weは期待される勝率で、両国の試合前のポイント差をΔとして「We = 1 ÷(10^(−Δ/600) + 1)」で求めます。
Iは試合の重みで、国際Aマッチ期間外の親善試合が5、期間内の親善試合が10、ネーションズリーグのリーグフェーズが15、同じくプレーオフや決勝ラウンドと各大陸予選が25、ワールドカップ本大会の準々決勝より前が50、準々決勝以降が60です。
大陸選手権やワールドカップのノックアウトラウンドで負けても、ポイントは引かれません。
この式が公開されているため、第三者でも試合結果さえ分かれば、公式発表の前に新しいポイントを計算できます。
football-ranking.comのように「LIVE」を掲げ、毎日更新する非公式サイトがあるのはこのためです。
同サイトは自らがFIFAの公式発表ではないことを前提に運営されています。
報道との差分
7月20日の公式発表の値(J SPORTSの一覧で確認)と、9月27日付記事のライブ値を並べます。
| 国 |
7月20日 公式 |
9月27日 記事(ライブ試算) |
差 |
| ドイツ |
12位 1726.22 |
13位(ポイント記載なし) |
― |
| クロアチア |
13位 1723.05 |
12位(ポイント記載なし) |
― |
| イタリア |
15位 1704.73 |
15位 1698.29 |
−6.44 |
| アメリカ |
16位 1690.33 |
16位 1693.24 |
+2.91 |
| 日本 |
17位 1673.68 |
17位 1678.30 |
+4.62 |
記事が「以前の差」として挙げた数字も確認します。
日本とアメリカの差12.03は、公式のアメリカ1690.33から記事の日本1678.30を引いた値と一致します。
日本とイタリアの差26.44も、公式のイタリア1704.73から日本1678.30を引いた26.43と、小数第2位の丸めを除いて一致します。
つまり記事の「以前の差」は、7月20日の公式値同士の差ではありません。
日本の数字だけはすでに9月の試合を反映したライブ値で、相手国の数字はその試合前の公式値です。
ちなみに公式値同士で比べると、7月20日時点の日本とイタリアの差は31.05、日本とアメリカの差は16.65です。
クロアチアとドイツの差は、公式発表の時点で3.17ポイントでした。
この程度の差なら、ネーションズリーグの1勝で順位が入れ替わってもおかしくありません。
なぜそうなったか
見出しと原典の間に差が生まれる原因は、資料の構造から3つ挙げられます。
1つ目は、公式発表の間隔が長いことです。
7月20日の次は10月7日で、この間には2か月半あります。
9月の国際Aマッチ期間の試合は行われても、公式の数字には反映されていません。
その空白を式の公開性が埋めています。
式と試合結果さえあれば誰でも計算できるので、ライブ試算の数字が先に出回ります。
見出しの「新たな順位変動」は、この試算上の変動を指しています。
2つ目は、試算の前提が1つずつ違うことです。
記事のイタリアの値は、7月20日の公式値から6.45を引いた1698.28とほぼ一致し、アメリカは公式値に2.91を足した値と一致します。
一方で日本の+4.62は、記事の抜き出した範囲からはどの試合によるものか分かりませんでした。
複数の国が異なる日に試合をする中で、ある時点での「差」を並べると、比べている時点が国ごとにずれやすくなります。
前の節で見た「以前の差」が公式値同士の差になっていなかったのは、この構造によるものです。
3つ目は、ライブ値が公式値と一致する保証がないことです。
FIFAの公式ページによれば、国際Aマッチの扱いから外れた試合は計算に入りません。
試合区分(Iの値)の判定もFIFA側が行います。
参考までに、アメリカの+2.91をI=10(期間内の親善試合)で逆算すると、アメリカのポイントがペルーより約230高かったことになります。
I=5で逆算すると、アメリカのほうが下だったことになり、アメリカが16位である事実と合いません。
資料からは確認できませんが、記事の試算はこの試合をI=10として扱ったものとみられます。
試算を行う側が区分をどう判定したかで、値は変わり得ます。
なお、非公式サイトfootball-ranking.comを9月28日に確認したところ、ドイツ1726.22、クロアチア1723.05、イタリア1704.73、アメリカ1690.33と7月20日の公式値と同じ数字が並ぶ一方、日本だけは1678.31(+4.63)と表示されていました。
記事とは順位の並びも違います。
ライブ試算は、どのサイトをいつ見たかで数字が変わります。
分からなかったこと
記事の数字をどのライブ試算サイトから取ったのかは、確認した範囲では特定できませんでした。
日本の+4.62がどの試合によるものか、クロアチアとドイツの9月の具体的なポイントも記事からは辿れていません。
算出式の細部はFIFAのPDF文書を直接開けず、英語版ウィキペディアの記述で確認しています。
イタリア対ベルギー、アメリカ対ペルー、クロアチア対チェコの試合日と会場は確認できていません。
これらが公式にどう反映されるかは、10月7日の公式発表で確かめる必要があります。
出典
- FIFA「FIFA/Coca-Cola Men’s World Ranking」(最終公式更新2026年7月20日・次回2026年10月7日の表示、2026年9月28日閲覧) https://inside.fifa.com/fifa-world-ranking/men
- FIFA「Procedure(Men)」(2018年8月からSUM方式、2026年9月28日閲覧) https://inside.fifa.com/fifa-world-ranking/procedure-men
- J SPORTS「FIFAサッカー 男子世界ランキング」(2026年7月20日時点の順位・ポイント) https://www.jsports.co.jp/football/fifa/football_men_ranking/
- サッカーキング「FIFAランキング最新版【7月20日更新】」(2026年7月20日、日本17位・1673.68) https://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20260720/1876817.html
- フットボールチャンネル(dメニューニュース転載)「FIFAランキングで新たな順位変動、クロアチアがドイツを抜く」(2026年9月27日) https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/footballchannel/sports/footballchannel-1020393
- football-ranking.com「FIFA world rankings – LIVE」(非公式・2026年9月28日閲覧) https://football-ranking.com/fifa-world-rankings
- Wikipedia「FIFA Men’s World Ranking」(算出式・I値の二次情報、2026年9月28日閲覧) https://en.wikipedia.org/wiki/FIFA_Men%27s_World_Ranking
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。
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