2026年10月3日、ブランド総合研究所が「地域ブランド調査2026」を発表しました。
同日の夜には都道府県魅力度ランキングがテレビと各メディアで一斉に出ています。
どの報道にも1位の北海道と「68.0点」が出てきますが、この点数は「魅力的と答えた人の割合」ではありません。
本記事では、発表元の資料に書かれた点数の計算方法を確認し、発表資料と報道の見出しでどこを取りどこを落としたかを並べます。
何が報じられたか
発表元は株式会社ブランド総合研究所(東京都港区)です。
2026年10月3日22時00分にPR TIMESで「第21回『地域ブランド調査2026』大阪府・長崎県が躍進、市区町村は上位を北海道が独占」というリリースを出しました。
同社が運営する地域ブランドNEWSにも、同じ日に結果記事が掲載されています。
リリースの本文によると、都道府県の1位は北海道で18年連続です。
2位京都府と3位沖縄県は前年と同じ順位でした。
前年4位の神奈川県は5位に下がり、東京都は4位に上がっています。
大阪府は6位で、魅力度は前年より5.3点上がりました。
リリースはこの伸び幅を47都道府県で最大としています。
市区町村では札幌市が3年ぶり10度目の1位、函館市が2位、小樽市が初の3位でした。
ダイヤモンド・オンラインは同日21時54分に記事を出しました。
北海道68.0点、京都府53.5点、沖縄県49.1点という各府県の点数はこの記事に載っています。
なお、この記事の署名にはブランド総合研究所が含まれています。
今回のキーワードの検出元はアイブリッジ株式会社のリリースです。
2026年9月29日付で、10月15日(木)14時からオンラインで開くセミナーを告知しています。
セミナーはブランド総合研究所との共催で、参加費は無料です。
見出しには「速報」とありますが、このリリース自体には順位も点数も書かれていません。
調査結果が公表される4日前の告知でした。
原典に当たる
まず点数の定義を確認します。
地域ブランドNEWSの都道府県ランキング記事に、注記として計算式が書かれています。
回答者は地域名を見て「とても魅力的」から「まったく魅力的でない」までの5段階から1つを選びます。
点数に入るのは上位2つの選択肢だけで、計算式は次のとおりです。
魅力度=100点×「とても魅力的」の回答者割合+50点×「やや魅力的」の回答者割合
「どちらでもない」以下を選んだ人は0点として扱われます。
そのため、点数と「魅力的と答えた人の割合」は一致しません。
前年の資料で具体的に確認できます。
地域ブランド調査2025の都道府県結果記事によると、北海道を「とても魅力的」とした人は55.2%、「やや魅力的」は31.0%でした。
合わせて86.2%が魅力的と答えたことになります。
一方で点数は70.7点です(55.2+31.0×0.5=70.7)。
点数は割合より15.5ポイント低く出ています。
2026年の68.0点についても、「68%が魅力的と答えた」という意味ではありません。
2026年分の選択肢別の割合は、今回取得できた資料には載っていませんでした。
次に母数と調査方法です。
リリースの調査概要によると、調査はインターネットで行われ、期間は2026年6月23日~7月17日、有効回答は31,666人です。
回答者は20代~70代の消費者で、男女別・年代別・地域別にほぼ同じ人数ずつ集めています。
そのうえで、年齢と地域の人口分布に合わせて再集計(ウェイトバック集計)しています。
注意が要るのは、1人が全地域を評価しているわけではない点です。
1人が答えるのは、都道府県の調査票なら11か12県、市区町村の調査票なら20地域です。
地域ブランドNEWSによると、1地域あたりの平均回答者数は都道府県が約949人、市区町村が約558人です。
つまり「31,666人が評価した順位」ではなく、県ごとに約949人が評価した点数を並べたものです。
調査の対象は全国1,000市区町村(全792市+東京23区+185町村)と47都道府県です。
項目は魅力度、認知度、観光意欲度、居住意欲度など計91項目あります。
調査は2006年に始まり今回が21回目です。
都道府県は2009年からで、今回が18回目です。
報道との差分
同じ発表について、前に出した情報を媒体ごとに並べます。
| 出どころ |
見出しの要素(20字以内引用) |
前に出したもの |
本文に無いもの |
| ブランド総合研究所リリース(10/3) |
「大阪府・長崎県が躍進」 |
上昇した府県・市、平均点の上昇 |
各府県の点数、下位の順位 |
| 地域ブランドNEWS都道府県記事(10/3) |
「1位は北海道。 大阪府・長崎県が躍進」 |
順位の変動、点数の計算式 |
上位3県の点数、下位の順位 |
| ダイヤモンド・オンライン(10/3) |
「残念ながらワースト1位は…?」 |
上位3県の点数、最下位 |
点数の計算式(1ページ目時点) |
| アイブリッジのセミナー告知(9/29) |
「都道府県魅力度ランキング2026速報!」 |
テレビ未公開データの解説 |
結果そのもの |
発表元の資料は伸びた地域を前に出しています。
新潟県(28位→22位)、宮崎県(30位→24位)、高知県(34位→28位)はいずれも6つ順位を上げました。
長崎県は前年から3つ上げて8位、宮城県は4つ上げて11位です。
これらを観光意欲度の上昇と結びつけて説明しています。
最下位がどこかは、リリースにも地域ブランドNEWSの都道府県記事の本文にも書かれていません。
ダイヤモンド・オンラインは、見出しで最下位を問いかけています。
最下位の県名は2ページ目以降に回されていて、今回取得した1ページ目には載っていませんでした。
もう一つ、読み違えやすい差分があります。
リリースには「47都道府県のうち、魅力度が前年より上昇したのは28県で、その平均は28.5点」と書かれています。
この「その平均」は、前の文脈だけ読むと「上昇した28県の平均」とも取れます。
しかし同じ日の地域ブランドNEWS都道府県記事では「47都道府県の平均点は28.5点」と書き分けられています。
前年の47都道府県平均は27.8点(地域ブランド調査2025の結果記事)なので、差は0.7点です(筆者計算)。
発表元はこれを過去最高としています。
1位の北海道は、前年の70.7点からダイヤモンド・オンライン掲載の68.0点に下がっており、差は2.7点です(筆者計算)。
京都府は52.6点から53.5点に、沖縄県は48.6点から49.1点に上がっています。
2025年の点数は地域ブランドNEWSの2025年結果記事、2026年の点数はダイヤモンド・オンラインの記事によります。
発表元の文章は「18年連続1位」という順位を前に出していて、点数が下がったことには触れていません。
なぜそうなったか
差が生まれた要因として、資料から確認できる構造を3つ挙げます。
1つ目は公開の順序です。
地域ブランドNEWSによると、結果は10月3日に日本テレビ系「世界一受けたい授業」の特番と同社サイトで公開されました。
ダイヤモンド・オンラインの記事と地域ブランドNEWSの各記事は、どちらも21時54分付です。
テレビ放送と同時に出す記事は、放送で語られる順位の物語に沿いやすくなります。
各府県の点数やCSVデータは、別ページか申請フォームの先に置かれています。
地域ブランドNEWSのCSVリンクは、申請フォームのページにつながっていました。
2つ目は、発表元が何で収益を得ているかです。
リリース末尾には有料の報告書が載っています。
総合報告書は税込88,000円、個別報告書は税込55,000円、ハンドブックは税込4,400円です。
セミナー告知の「テレビ未公開データ」という表現も合わせると、構造が見えてきます。
無料で出すのは順位と上昇した地域の話で、91項目の詳細や属性別の分析は有料です。
上昇した地域を前に出す書き方は、報告書を買う側である自治体にとって使いやすい情報でもあります。
ただし、資料からは確認できないので、これが見出しの選び方を決めた理由だとは断定しません。
3つ目は、媒体ごとに読者が何に反応するかです。
ダイヤモンド・オンラインの記事は「下位争いも毎年多くの関心を集めている」と書いています。
同媒体は2025年版でも「47都道府県・完全版」という記事を出していることが、関連記事欄から確認できます。
最下位を見出しにして本文をページ送りにする形は、毎年続く連載の型と読めます。
どの媒体の見出しも、点数の定義には触れていません。
100点満点の点数として示されるため、読む側が「割合」と受け取っても止める仕組みがありません。
定義は原典の注記にしか書かれていませんでした。
分からなかったこと
2026年の選択肢別の回答割合(「とても魅力的」「やや魅力的」それぞれの比率)は、取得した資料に載っていませんでした。
そのため、2026年の68.0点のうち何%が魅力的と答えたかは計算できません。
7位・9位・10位と下位の府県名、各府県の点数の一覧は、CSVの申請と2ページ目の閲覧を経ないと確認できず、本記事では扱っていません。
1県あたりの回答は約949人です。
点数の標本誤差や、数点の変動が統計的に意味のある差かどうかは、公開資料には書かれていませんでした。
前年と比べた0.5点前後の差を「上昇」と読んでよいかは、資料からは判断できません。
リリースのPDF添付資料は、本記事の作成時点で本文を取得できていません。
出典
- ブランド総合研究所「第21回『地域ブランド調査2026』大阪府・長崎県が躍進、市区町村は上位を北海道が独占」2026年10月3日 PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000114.000000266.html
- 地域ブランドNEWS(ブランド総合研究所)「第21回『地域ブランド調査2026』大阪府・長崎県が躍進、市区町村は上位を北海道が独占」2026年10月3日 https://news.tiiki.jp/articles/5016
- 地域ブランドNEWS(ブランド総合研究所)「『都道府県魅力度ランキング2026』1位は北海道。
大阪府・長崎県が躍進」2026年10月3日(魅力度の計算式・各府県の順位変動・47都道府県平均) https://news.tiiki.jp/articles/5014
- 地域ブランドNEWS(ブランド総合研究所)「地域ブランド調査2025 都道府県の魅力度等調査結果」(北海道70.7点・回答割合55.2%/31.0%・2025年平均27.8点) https://news.tiiki.jp/articles/4975
- ダイヤモンド・オンライン「都道府県魅力度ランキング2026、残念ながらワースト1位は…?」2026年10月3日(北海道68.0点・京都府53.5点・沖縄県49.1点) https://diamond.jp/articles/-/400441
- アイブリッジ株式会社「都道府県魅力度ランキング2026速報!テレビ未公開データから読み解く『地域ブランド調査2026』…【10/15(木)14時開催】」2026年9月29日 PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000238.000064613.html
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
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