パドレスの松井裕樹投手が、メジャー3年目の今季も50試合登板に届きました。日刊スポーツはこれを「3年連続50試合登板」と見出しに取り、解説者の五十嵐亮太氏の称賛を添えて報じています。この記事では、その「50試合」がMLB公式記録で何を数えた数字なのかを確かめます。あわせて、見出しに入らなかった数字も並べます。使ったデータは、MLB公式の統計API(statsapi.mlb.com)から2026年9月25日に取得したものです。
何が報じられたか
日刊スポーツは2026年9月20日付(URLの日付部分による)で、五十嵐亮太氏が松井投手の3年連続50試合登板を「すごい、あっぱれ」と評価したという記事を配信しました。見出しには「本当にタフ」という言葉も入っています。
ただし、この記事の本文は取得できませんでした。そのため、ここで扱うのは見出しに出ている要素だけです。中心にある数字は「3年連続」と「50試合登板」の2つです。
MLB公式の試合記録によると、松井投手の今季50試合目の登板は2026年9月17日(現地日付)です。翌19日に51試合目、24日までに53試合に登板しています。記事が配信された時点で数字は50を少し超えていたことになります。本文が読めなかったため、記事がどの試合を区切りにしたのかは確認できていません。
原典に当たる
MLBの公式記録で「登板」にあたる項目はgamesPitched(略号G)です。投手としてマウンドに上がった試合をすべて1と数えます。投げた長さ、打者の人数、結果は問いません。1死だけ取って降板しても、3イニング投げても、どちらも1登板です。
MLB公式APIの年度別記録で、松井投手のメジャー成績は次のとおりです。
- 2024年:64登板。先発0。投球回62回2/3。防御率3.73。ホールド9
- 2025年:61登板。先発0。投球回63回1/3。防御率3.98。ホールド3、セーブ1
- 2026年(9月24日の試合まで):53登板。先発0。投球回63回2/3。防御率1.84。ホールド11、セーブ1
年度別記録は2024年から始まっていて、3年とも所属はパドレスです。つまり「3年連続」は、メジャーでの全シーズンを指します。3年とも先発はなく、すべて救援での登板です。
今季については、もうひとつ公式記録から分かることがあります。MLBの登録異動記録によると、松井投手は2026年3月25日に左股関節付近の筋肉の張り(記録上はleft groin strain)で15日間の負傷者リストに入りました。4月4日から傘下のマイナー球団エルパソで調整登板をしています。メジャーの登録に戻ったのは5月5日です。今季のメジャー初登板は5月8日でした。
パドレスの今季公式戦は3月26日に始まっています。松井投手は開幕から約6週間メジャーで投げていません。そのうえで、9月17日に50登板目に届いています。パドレスの日程は9月27日まで残っていて、取得時点で162試合中158試合が終わっていました。今季の数字はまだ確定していません。
報道との差分
見出しが取り上げた数字と、公式記録にあって見出しには入らなかった数字を並べます。
| 項目 |
見出し |
MLB公式記録 |
| 登板数 |
「3年連続50試合登板」 |
64→61→53(今季は9月24日まで) |
| 投球回 |
なし |
62回2/3→63回1/3→63回2/3 |
| 1登板あたりの投球回 |
なし |
約0.98→約1.04→約1.20 |
| 今季の欠場 |
なし |
3月25日〜5月5日は負傷者リスト |
| 今季の防御率 |
なし |
1.84(3年で最も低い) |
1登板あたりの投球回は、公式の投球回を登板数で割った値です。1/3回単位で計算しています。
見出しの「50試合」は、3年とも満たしている下限の線です。実際の登板数は64→61→53と年ごとに減っています。一方で投球回はほぼ横ばいで、62回2/3から63回2/3の幅に収まっています。登板数だけを見ると負担が軽くなったように見えます。しかし投げたイニングの合計は変わっておらず、今季は1回の登板で投げる長さが延びています。
もうひとつの差は、今季の登板数が開幕からの数字ではない点です。5月8日の初登板から9月24日までで53登板です。見出しの「3年連続」という書き方だと、3年とも同じ条件で積み上げた数字に読めます。実際の今季は、ほかの2年より短い期間で50試合に届いています。
なぜそうなったか
見出しが「50試合登板」を選んだ理由は、資料の構造から説明できます。
1つめは、数え方の単純さです。登板数は1試合に1回ずつ増えるだけの数字で、説明がいりません。投球回は「63回2/3」のように1/3単位で書かれるので、見出しの短い字数には収まりにくくなります。1登板あたりの投球回は計算してはじめて出る数字で、公式記録にそのままの欄はありません。
2つめは、区切りの良さです。50という区切りはシーズン中に1回しか訪れず、その日に報じる理由になります。松井投手の50登板目は9月17日で、記事の配信はその3日後です。区切りに届いたことが、記事になるきっかけだったと考えられます。ただし本文を読めていないので、これは推測です。
3つめは、50試合という線がどれくらい高いかです。公式APIの年間成績を集計すると、MLBで登板した投手のうち50登板以上は次の人数でした。
- 2024年:855人中149人
- 2025年:873人中137人
- 2026年(取得時点):865人中129人
3年とも50登板以上だった投手は44人です。ここでは、シーズン中に移籍した選手の登板を合算して数えています。今季はまだ数試合残っているので、この44人は今後少し増える可能性があります。見出しの「タフ」という評価を、この集計は数字の面から支えています。一方で、見出しは「故障で開幕に出遅れた年も含めて届いた」という事情を省いています。この事情も記録からは読み取れます。
見出しにない数字を落としたこと自体は、見出しの字数を考えれば当然の取捨選択です。この記事が示しているのは、「50試合」が登板の長さも出場できた期間も含まない数え方だという点までです。
分からなかったこと
日刊スポーツの記事本文は取得できませんでした。五十嵐亮太氏の発言は見出しに出ている部分以外は分かりません。記事がどの試合を区切りにしたのか、3年分の登板数を本文で示したのかも確認できていません。
松井投手のメジャー移籍前の日本での登板記録は、この記事では確認していません。そのため、「連続50登板」が日本時代から続く記録なのかどうかは書いていません。
今季の成績はシーズン途中の数字です。最終的な登板数、投球回、3年とも50登板以上だった投手の人数は、シーズンが終わると変わる可能性があります。
出典
- MLB Stats API 松井裕樹 年度別投手成績(2026年9月25日取得) https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/673513/stats?stats=yearByYear&group=pitching
- MLB Stats API 松井裕樹 2026年 試合別投手成績(2026年9月25日取得) https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/673513/stats?stats=gameLog&group=pitching&season=2026
- MLB Stats API 松井裕樹 2026年 登録異動記録(2026年9月25日取得) https://statsapi.mlb.com/api/v1/transactions?playerId=673513&startDate=2026-01-01&endDate=2026-09-25
- MLB Stats API 2024〜2026年 全投手シーズン成績(2026年9月25日取得) https://statsapi.mlb.com/api/v1/stats?stats=season&group=pitching&season=2026&playerPool=all&limit=3000&sportId=1(2024年・2025年はseasonの値を変えて取得)
- MLB Stats API パドレス 2026年公式戦日程(2026年9月25日取得) https://statsapi.mlb.com/api/v1/schedule?sportId=1&teamId=135&season=2026&gameType=R
- 日刊スポーツ「五十嵐亮太氏『すごい、あっぱれ!』3年連続50試合登板のパドレス松井裕樹に『本当にタフ』」(2026年9月20日付・本文は未取得) https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/photonews/photonews_nsInc_202609200000181-1.html
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
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