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高速鉄道「新幹線の17倍」は計算が合う。負債額は原典で照合

プレジデントオンラインの記事がInfoseekに転載され、中国の高速鉄道を紹介しました。記事は、運賃の高さ、利用者の少ない駅、国有鉄道会社の巨額負債を順に取り上げています。本稿では、記事に出てくる数字を原典まで辿れるかどうか確かめます。照合先は、中国国家鉄路集団統計公報と格付報告書、国土交通省の交通政策白書の資料です。

何が報じられたか

記事の筆者は青葉やまと氏で、プレジデントオンラインに8月に掲載されました。見出しに付けて、9月にInfoseekへ再掲されています。主な数字と、記事が挙げている出典は次のとおりです。

  • 末時点の中国の高速鉄道の総延長は5万400km。日本の新幹線の約3,000kmの約17倍
  • 国鉄集団の負債は時点で1兆ドル
  • 債務の維持にかかる費用は年250億ドル
  • 採算が取れているのは全体の6%にあたる2,300km区間だけ
  • 以降、少なくとも20駅が閉鎖された
  • 高速鉄道の運賃は在来線の倍
  • 四川省富順県の駅は待合スペースが1,000人分あるのに、ある日の午後の利用者は20人だった

後半の4項目については、記事の中で出典が示されていません。

原典に当たる

まず中国側の延長です。国鉄集団の、業界紙の人民鉄道報が3月に掲載しました。そこには、末の全国の鉄道営業距離が16.5万km、そのうち高速鉄道が5.0万kmと書かれています。の新線開業は3,109kmで、そのうち高速鉄道は2,862kmです。国鉄集団が6月に出したでは、同じ延長をもう1桁細かく出しています。第14次5か年計画の期間、高速鉄道は3.79万kmから5.04万kmへ32.98%伸びました。記事のこの5.04万kmと一致します。前の末の値は、国鉄集団の度財務決算の公表文にある4.8万kmです。なお、統計公報には、どの速度から数えるのかという定義は書かれていません。

次に日本側です。国土交通省の資料によると、3月に北陸新幹線の金沢・敦賀間が開業し、新幹線の総延長は2,956kmになりました。グラフ上の数値は2,955.5kmです。資料の開業年表には山形新幹線と秋田新幹線が載っていないため、在来線を改良した、いわゆるミニ新幹線は含まれていないと読めます。ただし、資料に明記はありません。新幹線の法律上の定義は全国新幹線鉄道整備法第にあり、「その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道」とされています。

最後に財務です。格付会社の中誠信国際が作成した、6月に上海証券取引所で開示されました。各年の監査済み決算から整理された値として、次の数字が載っています。末の総資産は97,626.94億元、資産負債率は63.51%です。借入金と社債を合わせた、が51,231.08億元、が51,357.91億元、が51,206.77億元でした。純利益はがマイナス695.61億元、が33.04億元、が38.81億元です。に出ていった現金は1,275.77億元でした。

報道との差分

項目 記事 原典 差
中国の高速鉄道延長 5万400km 5.04万km、5.0万km 一致
新幹線延長 約3,000km 2,956km 丸め
倍率 約17倍 5.04万÷2,956=17.05 一致
負債 1兆ドル 総資産×資産負債率=約6.2兆元。総債務は5.12兆元 為替の前提が分からず照合できない
債務の維持費 年250億ドル 利息・配当の支払い現金が1,275.77億元 推計方法が示されていない
採算区間6%・2,300km 記載あり 辿れず —

延長と倍率は原典どおりで、割り算も合っています。ずれがあるのは負債のほうです。格付報告書の資産負債率は、総資産に対する負債の総額の比率です。これから逆算すると、末の負債総額は約6.2兆元になります。一方、有利子の借入に当たる5.12兆元です。このように範囲の違う数字なので、ドル換算する前にどちらを指すのかを決めておく必要があります。また、総債務はからまで、ほぼ横ばいか微減でした。

なぜそうなったか

1つ目は、比べている指標です。17倍という数字は延長だけを比べたもので、どれだけ造ったかは分かります。しかし、どれだけ使われているか、採算が取れているかは、延長からは読み取れません。記事の見出しは、延長の倍率一文につないでいます。1駅の観察は、全国の利用率を代表する数字にはなりません。

2つ目は、数える範囲です。日本の2,956kmにはミニ新幹線が入っていないと読めます。中国の統計公報には速度の定義が書かれていません。ですから、17倍は両国がそれぞれの基準で数えた延長どうしの比であり、同じ物差しで測ったことまでは資料から確認できません。

3つ目は、採算の割合の母数です。資料からは確認できませんが、2,300kmを5.04万kmで割ると4.6%です。末の3.79万kmで割ると6.1%になります。記事の、より古い時点の総延長を母数にした数字である可能性があります。

4つ目はいう評価と決算の関係です。格付報告書を見ると、純利益はに赤字でしたが、とは小幅な黒字でした。一方で報告書は、返済能力の根拠として、政府が鉄道建設債を政府支持債券と位置づけていることを挙げています。記事のいう主張と、決算上の黒字は、両方とも成り立ちえます。ただ、補助がどれだけ利益を押し上げているかは、報告書にある数字だけでは切り分けられません。

分からなかったこと

採算区間の、閉鎖された、運賃がいう数字は、どれも記事の中に出典がなく、原典に辿れませんでした。富順駅の観察が行われた日付も分かりません。記事が出典としているチャイナ・デイリーとウォール・ストリート・ジャーナルの元の記事は、本稿では確認していません。1兆ドルという数字がどの時点のどの為替レートで換算されたのか、負債総額と総債務のどちらを指すのかも不明です。中国の速度の定義は、今回当たった統計公報と社会責任報告には書かれていませんでした。

出典

  • 中国国家鉄路集団有限公司統計公報 https://peoplerail.com/newszb/html//02/content_2_61234.htm
  • 国鉄集団度社会責任報告に関する報道 https://www.chinanews.com.cn/gn/2026//10646852.shtml
  • 国鉄集団度および第1四半期の財務決算公表 http://www.china-railway.com.cn/xwzx/ywsl/202505/t20250506_144914.html
  • 中誠信国際 http://static.sse.com.cn/disclosure/bond/announcement/corporate/c/new//127921_20250618_YCPU.pdf
  • 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/Road25/policy/pdfs/tetsudo-02.pdf
  • 全国新幹線鉄道整備法 第 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC1000000071
  • 青葉やまと(プレジデントオンライン初出8月、Infoseek転載9月) https://news.infoseek.co.jp/article/president_119252/
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。

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