2026年9月29日4時45分、茨城県南部を震源とする地震で、気象庁は緊急地震速報(予報)を14回出しました。
第1報のマグニチュードは4.0、最終報は5.2です。
同じ地震について、気象庁が別に示した速報値のマグニチュードは4.9でした。
この記事では、気象庁の発表履歴ページ1枚を原典として、44秒の間に数字がどう動き、なぜ「最終報」と「速報値」で値が違うのかを資料の構造から追います。
何が報じられたか
原典は、気象庁が公開している「緊急地震速報(予報)の内容」のページです。
このページの「発生した地震の概要(速報値)」欄には、次の値が載っています。
- 地震発生日時:令和8年(2026年)9月29日4時45分
- 震央地名:茨城県南部
- 位置:北緯36.1度・東経139.9度
- 深さ:50km
- マグニチュード:4.9
- 最大震度:4
同じページの「緊急地震速報の詳細」欄には、地震波を検知した時刻(4時45分13.8秒)と、そこから第1報〜第14報までの提供時刻・震源・マグニチュード・予測震度・対象地域が並んでいます。
最終報の第14報は4時45分58.7秒、検知から44.9秒後です。
検索で「緊急地震速報 今」という語が伸びたのは、未明の時間帯に揺れや通知を受けた人が「今のは何だったのか」を確かめようとした結果と考えられますが、検索行動の内訳は資料からは確認できません。
本記事が扱うのは、気象庁が出した数字そのものです。
原典に当たる
まず「予報」という言葉の定義です。
気象庁の解説ページ「緊急地震速報(警報)及び(予報)について」によると、緊急地震速報には「警報」と「予報」の2種類があります。
警報は、2点以上の地震観測点で地震波が観測され、最大震度5弱以上、または最大長周期地震動階級3以上が予想された場合に発表されます。
警報では具体的な予測震度は出さず、「強い揺れ」と表現します。
理由として、予測震度には±1程度の誤差があること、続報をできるだけ避けたいことが挙げられています。
予報は、マグニチュード3.5以上、または最大震度3以上、もしくは最大長周期地震動階級1以上と予想された場合に発信されます。
用途は機器制御や家庭用端末などで、受信地点の予測震度や主要動の到達予想時刻の表示にも使われると説明されています。
今回の履歴ページの題名は「緊急地震速報(予報)の内容」で、予測震度の最大は「震度4程度」でした。
警報の条件である「5弱以上」には届いていません。
次に予報の出し方です。
同じ解説ページには、予報は地震を検知してから数秒〜1分程度の間に「数回(5〜10回程度)」発表し、第1報は迅速性を優先し、その後精度が徐々に高くなり、ほぼ安定した時点で最終報を出す、と書かれています。
今回は14報で、資料が示す目安の回数を上回っています。
予測震度の「地域」も定義があります。
履歴ページの一覧には、掲載されている予測震度は全国を約200に分けた地域(予報区)を対象としたもので、許可を受けた民間事業者が個別地点を対象に出す予測震度とは異なる場合がある、と注記されています。
アプリで「あなたの地点の予測震度」として表示された値と、気象庁の予報区単位の値は、同じものではありません。
最後に「速報値」です。
概要欄の見出しには「速報値」と明記されています。
つまりマグニチュード4.9・最大震度4という値も確定値ではなく、後の精査で変わりうる数字として載っています。
報道との差分
ここでは各社の見出し比較ではなく、同じ地震について気象庁自身が出した2系統の数字、すなわち「緊急地震速報の各報」と「地震の概要(速報値)」の差を並べます。
| 時点 |
検知からの秒数 |
M |
深さ |
予測震度・地域 |
| 第1報 4:45:16.5 |
2.7秒 |
4.0 |
50km |
最大震度3程度以上(地域なし) |
| 第3報 4:45:18.4 |
4.6秒 |
4.5 |
30km |
最大震度3程度以上 |
| 第4報 4:45:19.3 |
5.5秒 |
4.7 |
40km |
震度3から4程度:埼玉県南部 |
| 第5報 4:45:20.4 |
6.6秒 |
4.8 |
40km |
震度4程度:千葉県北西部、埼玉県南部 |
| 第10報 4:45:25.4 |
11.6秒 |
5.2 |
50km |
震度4程度:5地域/震度3から4程度:東京都23区 |
| 第12報 4:45:43.9 |
30.1秒 |
5.2 |
50km |
震度4程度:東京都23区を含む8地域 |
| 第14報(最終)4:45:58.7 |
44.9秒 |
5.2 |
50km |
震度4程度:8地域 |
| 概要(速報値) |
― |
4.9 |
50km |
最大震度4 |
差は3つあります。
1つ目はマグニチュードです。
第1報の4.0から第10報で5.2に上がり、最終報まで5.2のままでした。
一方、概要欄の速報値は4.9で、最終報より0.3小さい値です。
2つ目は深さです。
50kmで始まり、第3報で30kmへ浅くなり、第4報〜第9報は40km、第10報以降は50kmに戻っています。
概要欄の深さも50kmです。
3つ目は対象地域の広がりです。
地域名が初めて出たのは第4報(5.5秒後)の埼玉県南部1地域でした。
第11報で栃木県南部・群馬県南部が加わり、東京都23区は第10報で「震度3から4程度」として入り、第12報(30.1秒後)で「震度4程度」に上がりました。
最終的に震度4程度の対象は、茨城県南部・千葉県北西部・埼玉県南部・埼玉県北部・茨城県北部・栃木県南部・群馬県南部・東京都23区の8地域です。
観測された最大震度は、概要欄で4でした。
なぜそうなったか
数字が動いた理由は、資料が説明する予報の設計そのものにあります。
気象庁は第1報を「迅速性を優先」と位置付けています。
検知から2.7秒の時点では、地震波を捉えた観測点が少なく、規模の推定に使える揺れの記録も短い段階です。
第1報が地域名を持たず「最大震度3程度以上」とだけ出ているのは、予報の発信条件(M3.5以上または最大震度3以上)を満たしたことを先に伝える形だと読めます。
その後、観測点のデータが増えるにつれて震源とマグニチュードが更新され、それに合わせて予測震度の対象地域が増えました。
マグニチュードが4.0から5.2へ上がると、同じ震源でも揺れが届く範囲の予測が広がります。
第10報でマグニチュードが5.2になった時点で23区が初めて対象に入ったことは、この連動を表の上で確認できます。
では、最終報の5.2と速報値の4.9はなぜ違うのか。
資料からは確認できないが、緊急地震速報のマグニチュードは数秒〜数十秒のデータで即時に推定する値であり、地震の概要欄の値はそれとは別の処理で求めた速報値として掲載されています。
2つは算出の経路が異なるため、一致する保証はありません。
気象庁は処理手法の詳細を「緊急地震速報の概要や処理手法に関する技術的参考資料」(PDF)にまとめていると案内していますが、本記事ではこのPDFの該当箇所を確認していません。
予測震度の側にも誤差が組み込まれています。
気象庁は予測震度に±1程度の誤差があると明記しています。
今回の予測「震度4程度」と観測された最大震度4は一致しましたが、これは誤差の範囲内に収まった結果であり、予測が常にこの精度で当たることを示すものではありません。
なお、14報という回数が目安(5〜10回程度)を上回った理由は、資料には書かれていません。
第7報〜第9報、第10報〜第11報のように0.1〜0.4秒間隔で続いた報があることは表から読み取れますが、その処理上の要因は確認できていません。
分からなかったこと
1つ目に、報道各社がこの地震をどの数字で伝えたかは集めていません。
マグニチュード5.2(緊急地震速報の最終報)と4.9(速報値)のどちらが見出しに使われたかは、本記事の範囲外です。
2つ目に、速報値4.9がその後の精査で変わったかどうかは確認していません。
3つ目に、警報が発表されなかったことは発表条件と予測震度から読み取れる結論で、警報の発表履歴を直接確認したものではありません。
4つ目に、スマートフォンや民間アプリでどの地域にどんな通知が届いたかは、予報区単位の気象庁資料からは分かりません。
出典
- 気象庁「緊急地震速報(予報)の内容」2026年9月29日4時45分 茨城県南部の地震 https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/fc_hist/2026/09/20260929044513/index.html
- 気象庁「緊急地震速報(予報)発表状況」一覧ページ(掲載内容・予報区の注記) https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/fc_hist/index.html
- 気象庁「緊急地震速報(警報)及び(予報)について」(発表条件・予報の発表回数・予測震度の誤差) https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/eew/shikumi/shousai.html
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。
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