2026年のシルバーウィーク中、検索語「中央道 渋滞」の関心が高まりました。
中央道の渋滞について数字を出している一次資料は、NEXCO中日本が8月28日に発表した渋滞予測です。
一方、この検索語が拾われた元の見出しはウェザーニュースが9月19日に出した台風の交通影響予測で、こちらは中央道を名指ししていません。
同じ連休の高速道路について、2つの資料は別々の問いに答えています。
この記事では、それぞれが何を数え、何を数えていないかを原資料から確かめます。
何が報じられたか
ウェザーニュースは2026年9月19日12時、「シルバーウィーク・交通機関への影響予測」を公開しました。
秋雨前線と台風25号の接近で、20日(日)から22日(火・国民の祝日)にかけて関東を中心に交通が乱れる見込みだとしています。
高速道路の項目で名前が挙がっているのは、東北・関東では首都高速・東関東道・圏央道・常磐道(20日〜22日に通行止めの可能性)、甲信・東海では新東名高速(20日〜21日に速度規制の予想)、それに東名高速の沿岸部(越波による通行止めへの警戒)です。
本州四国連絡道路の速度規制にも触れています。
ページ本文を取得して確かめたところ、「中央」という文字列は1回も出てきませんでした。
中央道の渋滞を数字で扱っているのは、この見出しとは別の資料です。
原典に当たる
NEXCO中日本は2026年8月28日、ニュースリリース「シルバーウィーク期間の高速道路における渋滞予測について【中日本版】」を発表しました。
対象期間は2026年9月19日(土)〜23日(水)の5日間です。
数えているのは資料が「交通集中による渋滞」と呼ぶもので、そのうち最大渋滞長が10km以上のものに限っています。
NEXCO中日本の管内全体で、10km以上の渋滞は上下線合計140回と予測されています。
リリース本文で「特に長い渋滞」として挙げられた2件は、どちらも中央道(E20)です。
1件目は9月19日(土)と20日(日)の下り線で、相模湖IC付近を先頭とする最大45kmの渋滞です。
別紙-1によると、ピークは両日とも6時、渋滞する時間帯は5時〜16時です。
高井戸ICから相模湖ICまでの所要時間は、ピーク時が約135分、通常時が約35分で、差は約100分とされています。
2件目は9月22日(火)の上り線で、小仏トンネル付近を先頭とする最大30kmの渋滞です。
ピークは15時、時間帯は13時〜22時、大月ICから八王子JCTまでの所要時間はピーク時約120分・通常時約25分です。
上り線の小仏トンネル付近では、ほかの日にも最大10〜20kmの渋滞が予測されています。
別紙-1の注記には2つの前提が書かれています。
1つは「事故などの影響による渋滞は含まれておりません」、もう1つは通過所要時間を5分単位で切り上げていることです。
また、中央道下りの岡谷JCT付近の20km(9月19日、通過所要時間は約200分)は、別紙-3で長期工事規制に伴う渋滞として扱われています。
予測表には、連休の交通集中によるものと工事によるものが混在しています。
このほか本文には、期間中は休日割引が適用されないことが記されています。
天候を使う予測が出てくるのは別紙-2だけです。
別紙-2で紹介されている「中央道 渋滞減らし隊」は、過去の交通量・速度・渋滞・降雨量などのデータと当日の交通量・降水量との関係から、中央道上り線の大月IC〜八王子JCT間の所要時間を予測するウェブサイトだと説明されています。
報道との差分
2つの資料を同じ項目で並べると、次のようになります。
| 項目 |
NEXCO中日本(8月28日) |
ウェザーニュース(9月19日) |
| 答えている問い |
車が集中してどこがどれだけ詰まるか |
雨風でどこが止まる・遅れるか |
| 中央道 |
最長の予測2件がどちらも中央道 |
記載なし |
| 数字 |
渋滞長(km)、ピーク時刻、所要時間 |
日付と路線名、可能性の段階 |
| 除外しているもの |
事故などの影響による渋滞(注記あり) |
渋滞長の数字は扱わない |
| 台風への言及 |
本文・別紙-1に記載なし |
台風25号の接近が前提 |
見出しの側から見ると、ウェザーニュースが前に出したのは「運休や通行止めの可能性」で、対象は関東の湾岸・太平洋側の路線と首都高です。
渋滞長の数字は使っていません。
NEXCO中日本の資料には中央道の数字がそろっていますが、発表は台風の予測記事より3週間早く、本文にも別紙-1にも台風への言及はありません。
そのため、検索語「中央道 渋滞」に対して二つの資料をそれぞれ単独で読むと、どちらを読んでも欠けるものが出ます。
渋滞予測だけを読めば、天候による規制や通行止めで渋滞がどう変わるかは分かりません。
台風の予測記事だけを読めば、中央道はそもそも出てきません。
なぜそうなったか
差が生まれた理由は、資料の作り方から説明できます。
1つ目は、予測の前提が違うことです。
NEXCO中日本の予測は連休の交通集中を対象にしていて、事故による渋滞は除外すると明記しています。
天候による規制を織り込んだかどうかは、本文にも別紙にも書かれていません。
8月28日の時点で、1か月先の台風の進路を渋滞予測に反映する手順が資料に示されていない、というのが資料から言えることです。
天候を使う仕組みとしては、当日の降水量を取り込む「中央道 渋滞減らし隊」が別に用意されています。
2つ目は、発信する側の専門の違いです。
ウェザーニュースの記事は、雨・風・高波が交通機関に与える影響を路線ごとに並べる構成です。
高速道路の項目も、通行止めや速度規制が起きうる区間を挙げる形で書かれています。
交通集中による渋滞の長さは、気象の予測から出せる情報ではないため、記事の範囲に入っていないと読めます。
3つ目は、中央道の予測値の位置です。
中央道上り線の小仏トンネル付近は連休最終日側に30kmが予測されており、今回の最終日にあたる9月23日にも20km(ピーク13時)が並んでいます。
検索が伸びた時期と予測上のピークが近いことは確認できますが、検索した人が渋滞予測を見に来たのか、台風の影響を確かめに来たのかは、資料からは判別できません。
分からなかったこと
9月19日以降に中央道で実際に起きた渋滞の長さと時刻(実績値)は、確認できる一次資料にたどり着けませんでした。
予測と実績の差は書いていません。
NEXCO中日本が台風の接近を受けて予測を更新したかどうかも、今回取得したリリースからは確認できませんでした。
ゴールデンウィークとの比較は、渋滞回数が「増加する見込み」という本文の記述だけを使い、図の中の回数は数字として拾えなかったため使っていません。
所要時間を短縮する例については、本文(高井戸IC通過9時〜14時を避けると相模湖ICまで約2時間短縮)と、八王子JCTまでを示した添付の図(9時から15時と記載)とで表記が一致せず、同じ例なのか別の例なのか判別できませんでした。
出典
- NEXCO中日本「シルバーウィーク期間の高速道路における渋滞予測について【中日本版】」2026年8月28日 https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/6665.html
- 同 別紙-1「2026年度 シルバーウィーク期間の中日本高速道路における渋滞発生予測(最大渋滞長10km以上)」2026年8月28日 https://www.c-nexco.co.jp/images/news/6665/056190c45c6f0b9ec4726ec65e42ef85.pdf
- 同 別紙-2(中央道 渋滞減らし隊・スイスイ旅山梨版ほか)2026年8月28日 https://www.c-nexco.co.jp/images/news/6665/f1067b5cadac3c142569b7792b48e5ca.pdf
- 同 別紙-3(長期工事規制に伴う渋滞発生予測)2026年8月28日 https://www.c-nexco.co.jp/images/news/6665/d56a0db4fca3fb69cabdbec01001c268.pdf
- NEXCO中日本「中央道 渋滞減らし隊」 https://predict.traveltime.jp/chuo-herashitai-kobotoke/
- NEXCO中日本 休日割引適用日のお知らせ https://www.c-nexco.co.jp/topics/2421.html
- ウェザーニュース「シルバーウィーク・交通機関への影響予測 関東などで運休や通行止めの可能性(9月19日更新)」2026年9月19日12:00 https://weathernews.jp/news/202609/190091/
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。
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