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フィリーズ対ブルワーズ、118年ぶり記録は更新ではなかった

Action-packed baseball game in Santo Domingo, capturing a powerful swing. バズ

9月のフィリーズ対ブルワーズ戦のあと、Yahoo Sportsに「ブルワーズの新人投手ローガン・ヘンダーソンが前のMLB記録を破った」という見出しの記事が出ました。MLB公式のデータで数字をたどると、ヘンダーソンのWHIPはの記録を下回っていません。この記事では、見出しの何を数えていて、どの条件が付いていたのか、一次データで確認します。

何が報じられたか

試合は9月、フィラデルフィアで行われました。MLB公式のStats APIの試合日程データでは、スコアはブルワーズ4対フィリーズ1です。この試合のあと、ブルワーズの成績は99勝59敗、フィリーズは87勝71敗でした。

同じAPIの登板記録によると、ブルワーズ先発のローガン・ヘンダーソンはを投げ、被安打4、自責点1、四球3、奪三振3でした。球数は87球で、そのうちストライクは51球です。

Yahoo Sportsの記事は9月の配信で、制作はRoundtable Sportsです。本文は、ミルウォーキー・ジャーナル・センチネルの記者が示した記録を引用しています。記録の中身は「投球回50以上の新人先発投手としては、のエルマー・スティールが残した数字以来となる最も低いWHIP」というものです。一方、見出しの動詞はでした。

原典に当たる

WHIPの定義から確認します。MLB公式用語集では、WHIPはされています。死球、失策による出塁、野手選択による出塁は含みません。同じ用語集によると、この指標はにファンタジー野球の考案者ダニエル・オクレントが作ったものです。したがって、のWHIPは当時の記録ではありません。後の時代に被安打・四球・投球回から計算し直した値です。

次は選手ごとの数字です。MLB公式Stats APIの年度別投手成績を使いました。

ヘンダーソン成績は、18試合すべてが先発で、投球回1/3、被安打64、与四球19、死球1、奪三振110、防御率2.47です。この年の最終登板が9月なので、この数字は問題の試合を終えた時点のものです。WHIPは÷98.333で0.844になります。報道の0.844と一致しました。

スティール成績は、16試合に登板して先発13、投球回118、被安打85、与四球13、死球3、奪三振37、防御率1.83です。WHIPは÷118で0.831になります。

新人の定義も確認します。MLB公式用語集のでは、前年までに次のいずれかを超えた選手は新人ではありません。

  • メジャーで130打数、または50投球回
  • 公式戦期間中の現役ロースター登録が通算

ヘンダーソンのメジャー初登板は4月です。は5試合に先発し、投球回は1/3でした。投球回はを超えていません。スティールは9月に初登板し、は4試合、1/3でした。

報道との差分

二つの数字を並べると、ずれがはっきりします。

  • のヘンダーソン:WHIP 0.844
  • のスティール:WHIP 0.831

WHIPは低いほど走者を出していないことを示します。0.831は0.844より低いので、スティールの数字はまだ残っています。ジャーナル・センチネルの表現を引いた本文はいう形でした。意味は、ヘンダーソンは目の位置にあたります。見出しは、この置き換えています。

付いていた条件は三つあります。

  • 新人であること
  • 先発投手であること
  • 投球回が50以上であること

見出しは三つとも省き、とだけ書いています。スティールのは16登板のうち3試合が救援でした。どう数えたのか、報道本文に書かれていません。

定義を一つ変えるだけで順番が入れ替わることも、同じデータから確かめられます。死球を分子に足して試算すると、ヘンダーソンは÷98.333で0.854、スティールは÷118で0.856です。この場合はヘンダーソンのほうが低くなります。WHIPが死球を除く定義だから、スティールが上に来ているわけです。

なぜそうなったか

ずれの一つ目の原因は、条件の数と見出しの字数が合わないことです。この記録は新人・先発・50投球回以上という三つの条件を重ねて、初めて成り立ちます。三つの条件と見出しに全部入れると長くなります。見出しで条件を削ると、記録の範囲は実際より広く見えます。

二つ目はいう数字です。からを引くと118で、計算は正しいです。ただしこの数字が表しているのは、です。記録が破られた年との距離ではありません。いう言い方は、どちらの意味にも読めます。資料の側では、ヘンダーソンが2位、スティールが1位という並びになります。

三つ目は伝わる経路です。Yahoo Sportsの記事は、Roundtable Sportsが制作したものでした。本文はジャーナル・センチネル記者の発信を出典にしています。つまり、表現は二段を経ています。記録の文言が変わったのがどの段なのかは、元の発信を見られなかったため特定できませんでした。読み取れるのは、Yahooに載った本文と見出しの間で変わっている、という事実だけです。

四つ目は、の数字の成り立ちです。上で見たとおり、にWHIPという指標はまだありませんでした。0.831は、残っている被安打・四球・投球回から後で計算した値です。の新人資格にも、に採用された現行基準後から当てはめています。今と当時の数字を並べて呼ぶには、この再計算と再分類がどうしても入ります。これは報道のミスではありません。歴史的な記録というものの性質です。

分からなかったこと

からまでの新人先発投手の中に、投球回50以上でWHIPが0.844を下回った投手が本当にいないのかは、全数を当たって確かめられていません。ここは記者の集計を前提にしています。ヘンダーソンのの現役ロースター登録日数も、今回確認できたデータには載っていませんでした。基準を満たしているかは、報道がしている点に頼っています。ジャーナル・センチネルの元の記事や投稿そのものは読めていません。そのため、表現が変わったのがどの段階かは分からないままです。スティールのいう分類をどう扱ったかも不明です。

出典

  • MLB Stats API 試合日程https://statsapi.mlb.com/api/v1/schedule?gamePk=823410&sportId=1
  • MLB Stats API ローガン・ヘンダーソン 年度別投手成績https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/701656/stats?stats=yearByYear&group=pitching&sportId=1
  • MLB Stats API ローガン・ヘンダーソン 登板記録 https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/701656/stats?stats=gameLog&group=pitching&season=2026&sportId=1
  • MLB Stats API エルマー・スティール 年度別投手成績https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/122706/stats?stats=yearByYear&group=pitching&sportId=1
  • MLB Stats API 選手情報https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/701656 / https://statsapi.mlb.com/api/v1/people/122706
  • MLB公式用語集https://www.mlb.com/glossary/standard-stats/walks-and-hits-per-inning-pitched
  • MLB公式用語集https://www.mlb.com/glossary/rules/rookie-eligibility
  • Yahoo Sports「Brewers’ Henderson Breaks 118-Year-Old MLB Record vs. Phillies」9月 https://sports.yahoo.com/articles/brewers-henderson-breaks-118-old-110004942.html
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。

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