google-site-verification=tSMQ4FQhFx1RDsDFsOm7hyKcAa8tJgpr-DpePxzfGzM 台風31号、報道は72時間先まで、気象庁は120時間先まで | 見出しの手前

台風31号、報道は72時間先まで、気象庁は120時間先まで

A black and white photograph of a coastal view featuring a modern building and a dramatic cloudy sky. 社会

10月、マーシャル諸島付近の熱帯低気圧について「台風31号発生へ」という見出しの記事が出ました。記事が取り上げた気象庁の予報は先までです。これに対し、気象庁の発表データには先までの位置と強さが入っています。本稿では、記事が使った数字を気象庁と米軍合同台風警報センター原資料と照らし合わせ、記事に入った部分と入らなかった部分を確かめます。

何が報じられたか

福井新聞社は10月午前に「台風31号発生へ…気象庁の予想進路、米軍・ヨーロッパの見方 日本への影響は」を公開しました。記事が示した数字は次の3点です。

  • 気象庁の午前の実況では、熱帯低気圧はマーシャル諸島付近にある。午前までに台風に変わる見込み
  • 午前には強い台風に発達し、中心気圧980hPa、中心付近の最大風速/sになる予想
  • 米軍JTWCは午前の時点で、以内に台風になる可能性を「MEDIUM」と評価した。進路予想はまだ出ていない

ヨーロッパ中期予報センターついては、民間サイトのアニメーションで先まで見られると紹介しただけで、具体的な数字は載っていません。

原典に当たる

気象庁が10月に出した熱帯低気圧情報発表データを取得しました。の実況は北緯11.4度・東経166.0度、中心気圧1006hPa、最大風速/s、最大瞬間風速/sで、「東南東へゆっくり」進んでいます。予報は5段階です。

  • 後:1000hPa、/s。区分は台風。ほとんど停滞。予報円の半径は130km
  • 後:994hPa、/s。北へゆっくり進む。予報円の半径は200km
  • 後:980hPa、/s。強さは「強い」。北へ時速10km。予報円の半径は260km、暴風警戒域は320km
  • 後:970hPa、/s。東北東へ時速10km。位置の表記はウェーク島近海。予報円の半径は330km
  • 後:970hPa、/s。ほとんど停滞。北緯16.1度・東経169.7度。予報円の半径は440km、暴風警戒域は520km

数字の定義は気象庁の解説ページで確認しました。台風とは、北西太平洋か南シナ海にある熱帯低気圧のうち、最大風速およそ/s以上のものを指します。後の予想が/sなので、この時点で台風に変わる見込みとなります。「強い」は最大風速/s以上/s未満の階級で、後の/sと後以降の/sはどちらもここに入ります。予報円は、その時刻に台風の中心が円内に入る確率が70%の範囲です。暴風警戒域は、中心が予報円の中を進んだ場合に暴風域入るおそれがある範囲を示します。

JTWCについては2つの電文を取得しました。日本時間熱帯擾乱報、この擾乱を「INVEST 97W」と呼び、以内に顕著な熱帯低気圧が発生する可能性を「HIGH」に引き上げています。電文の末尾にも、再発行の理由は「HIGHへの引き上げ」と書かれています。同じ時刻には熱帯低気圧発生警報出ており、推定風速ノット、推定最低気圧1005hPa、鉛直シアーノット、海面水温とあります。今後については「ほぼ停滞し、やや南へ寄る」という見通しです。

報道との差分

原資料と記事を3つの点で比べます。

項目 原資料 記事
予報の期間 気象庁は先まで 先まで
最も強い予想 後に970hPa・/s 980hPa・/s
JTWCの評価 の再発行でHIGH 時点のMEDIUM
進む向き 北へ進んだ後、東北東へ。その後ほとんど停滞 記載なし

選ばれたのは、発生の見込みと後の強さです。落ちたのは後と後の予報で、最も発達した段階の数字と、東北東のウェーク島近海へ向かうという進路がここに入っています。強調されたのは見出しの「日本への影響は」という問いですが、記事の数字だけでは答えが出ません。

日本との距離は本稿で計算しました。気象庁の予報位置と各地点のおおよその座標を使った球面上の距離です。後の予報円の中心から南鳥島まで約1,870km、東京まで約3,680kmあります。同じ時刻の予報円の半径は440km、暴風警戒域は520kmです。少なくとも先までの気象庁予報では、暴風警戒域は日本の陸地に届いていません。

JTWCの評価がずれた理由は時刻の差です。記事は時点の評価を引き、JTWCはに評価を引き上げました。記事の公開はです。ただし、原稿がいつ確定したかは資料から分かりません。

なぜそうなったか

ここから先は資料の構造からの説明で、書き手の意図を示すものではありません。

1つめの理由は、発表のタイミングが重なったことです。気象庁の熱帯低気圧情報はに更新されました。JTWCの再発行も同じ協定世界時、つまり日本時間です。記事が時点のJTWCの評価を使っているので、取材はこの更新より前の資料で行われた可能性があります。ただ、気象庁の後の数字は、取得したの発表と一致しています。

2つめの理由は、画面や紙面のふつうの見せ方です。気象庁の予報図は先までの予報円を描きます。一方、報道は「発生」「強い台風」といった区切りのよい時点を抜き出すことが多くあります。後は強さの表記が初めて付く時点なので、区切りとして選ばれやすい位置にあります。

3つめの理由は、同じ時刻に別の台風が日本の近くにあったことです。気象庁のの発表では、台風30号石垣島の南南西約160kmにあり、大型で強い台風として955hPa・最大風速/sで北北西へ進んでいます。「日本への影響」への関心はこちらの台風と重なっており、31号の見出しにも同じ問いが付いたと考えられます。資料からは確認できませんが、検索の増加にも30号への関心が混ざっている可能性があります。

なお、JTWCは台風30号を「TYPHOON 29W 」と呼んでいます。気象庁とJTWCでは番号が一致しません。取得した資料には番号の付け方の違いが書かれていないため、その理由はここでは扱いません。

分からなかったこと

ECMWFの予想進路は今回取得できませんでした。記事が紹介した民間サイトの表示は数値として取り出せず、ECMWFが公開している資料にも当たれていません。このため「ヨーロッパの見方」は本稿では評価していません。JTWCがに出したMEDIUMの電文も、原文は見られていません。より先の進路は、気象庁が予報を出していないため誰にも分かりません。年間の発生数と比べて31号が多いのか少ないのかも、気象庁の統計に当たれていないため書いていません。

出典

  • 気象庁 熱帯低気圧情報 TC2637 発表データ https://www.jma.go.jp/bosai/typhoon/data/TC2637/specifications.json
  • 気象庁 台風30号 TC2636 発表データ https://www.jma.go.jp/bosai/typhoon/data/TC2636/specifications.json
  • 気象庁 台風の定義 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/html
  • 気象庁 台風の大きさと強さ https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/html
  • 気象庁 台風情報の種類と表現方法 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/html
  • JTWC Significant Tropical Weather Advisory ABPW10 PGTW 230130 https://www.metoc.navy.mil/jtwc/products/abpwweb.txt
  • JTWC Tropical Cyclone Formation Alert WTPN21 PGTW 230130 https://www.metoc.navy.mil/jtwc/products/wp9726web.txt
  • 福井新聞社「台風31号発生へ…気象庁の予想進路、米軍・ヨーロッパの見方 日本への影響は」 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2729332
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。

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