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グーグルクラウド障害の原典は「ロンドン1ゾーンの電源事象」

Smartphone displaying Google search page on a vibrant yellow background. バズ

10月未明、Investing.com日本語版に「レボリュートのサービスが復旧開始」で始まる見出しの記事が載りました。見出しの後半にある「グーグルクラウド障害」は、Google自身の状態ページにどう記録されているのか。本稿ではGoogleの原典と記事を並べ、見出しに残った情報と落ちた情報を確かめます。比べられた報道はだけです。各社の比較はしていません。

何が報じられたか

Investing.com日本語版の記事は、サイト上の表示で10月02:16に公開されています。見出しは「レボリュートのサービスが復旧開始、グーグルクラウド障害を受け」です。末尾には、一部を自動翻訳機で翻訳したという注記があります。

本文の内容は次のとおりです。英国の銀行レボリュートで、グーグルクラウドのインフラ障害によって複数のサービスが止まりました。日本時間の水曜日午前までに、一部のサービスが正常な機能を取り戻しました。戻ったものにはサポートチャットと内部送金が入っています。一方で、カード決済・送金・ATM引き出し・外貨両替・株式取引は、記事の時点でまだ問題が残っていました。記事は、障害が複数の金融機関や公共機関のウェブサイトにも及んだとも書いています。ただし、その機関の名前は書かれていません。

記事にはレボリュートのサービスの復旧数が「全体のうちいくつ」という形で書かれています。しかし、その母数がどこから来た数なのかを本稿では確かめられませんでした。そのため数字は書き写していません。理由は「分からなかったこと」で述べます。

原典に当たる

障害の一次情報は、Googleが公開している「Google Cloud Service Health」の記録です。インシデントIDはXs2XTHzAVC9YnafnPyzjです。ページの記載は次のとおりです。

件名は「Multiple services are experiencing issues in the europe-west2 region.」で、europe-west2という1つのリージョン複数のサービスに問題が出たという書き方です。所在地はLondonと書かれています。

原因の説明は「A power event caused an outage within europe-west2-b zone.」です。電源に関わる事象が、europe-west2の中のbゾーンで停止を起こしたと書かれています。「クラウド全体」でも「リージョン全体」でもなく、主語は1つのゾーンです。

開始時刻は10月23:08です。日本時間に換算すると10月15:08になります。終了時刻は10月07:00 PDTで、日本時間では10月23:00です。状態ページの一覧には継続時間がと出ていて、開始と終了の差と合っています。なお、一覧のほうでは終了が07:05 PDTと表示されていました。詳細ページの07:00とはずれています。

影響を受けたサービスとして、38の製品名が並んでいます。Google Compute Engine、Google Kubernetes Engine、Cloud SQL、Cloud Storage、Persistent Disk、Cloud Load Balancing、Cloud Run、BigQuery関連、Pub/Subなど、計算・保存・ネットワークの基盤にあたる製品が含まれています。ここで数えられているのはGoogleの製品で、Googleを使う企業のサービスではありません。

復旧については、「The power event is mitigated.」いう一文があります。加えて、インフラ系サービスへの部分的な緩和が進んだことが記録されています。最後に、社内での確認が終わったら分析を公表するという予告がありますが、本稿の取得時点ではまだ公表されていませんでした。

報道との差分

原典と記事を項目ごとに並べます。

項目 Googleの状態ページ Investing.com記事
障害の呼び方 europe-west2リージョンの複数サービスの問題 グーグルクラウド障害
原因 europe-west2-bゾーンの電源事象 インフラ障害
範囲 ロンドンの1ゾーン、38製品 範囲の記述なし
時刻の基準 PDTで記録 日本時間午前時点の状況
終わった時刻 10月07:00 PDTクローズ 日本時間午前の時点でも、レボリュートの主要機能に問題が残っている
影響を受けた利用者 名前の記載なし レボリュート、ほかに名前のない金融機関・公共機関

選択・省略・強調の3点に分けると、次のようになります。

選択: 記事はGoogleの障害を、レボリュートという1社の利用者から見た形で取り上げています。状態ページに並ぶ38の製品名は記事に出てきません。

省略: 見出しと本文の両方で、「電源事象」「1ゾーン」「ロンドン」が落ちています。「グーグルクラウド障害」とだけ書くと、どこまで広い障害だったのかが読み手には分かりません。

強調: 見出しの前半は「復旧開始」です。ところが、Google側の記録では、記事の時点より約前インシデントは終わっています。記事が伝えているのは基盤の復旧ではなく、利用者側の復旧がまだ途中だという状態です。

なぜそうなったか

1つ目は、2つの資料が数えている対象が違うことです。Googleの状態ページが記録するのは自社の製品の状態です。記事が追っているのはレボリュートの機能です。Googleが「終わった」とした後も利用者側の障害が続いていた、という2つの記述は、対象が違うので両方とも成り立ちます。ただし見出しが「グーグルクラウド障害を受け」と1つの因果にまとめているため、読み手はGoogleの障害がまだ続いていると受け取るおそれがあります。

2つ目は、基盤が戻ってから利用者のサービスが戻るまでの時間差です。資料からは確認できませんが、一般に、ゾーンの停止で止まったシステムは、基盤が戻ったあとに再起動やデータの整合確認を経て再開されます。レボリュートがどんな手順で復旧したのかは、本稿では一次情報を取れていません。

3つ目は、範囲の細かさが見出しに入りにくいことです。「europe-west2-bゾーン」は技術者向けの単位で、一般の読者には意味が伝わりにくい言葉です。見出しの字数で読者に分かる言葉を選ぶと「グーグルクラウド」になる、というのは紙面の制約から説明できます。ただし、1ゾーンの停止で銀行の主要機能が止まったのはなぜか、この省略によって問えなくなります。この点はGoogleの資料にも記事にも書かれていません。

4つ目は時刻の表し方です。原典はPDT、記事は日本時間で、記事は自動翻訳を含むと注記しています。記事の「日本時間水曜日午前」は10月10:00 PDTにあたり、Googleのクローズから後です。記事の中にGoogle側の終了時刻は書かれていないので、読み手が2つの時刻を並べることはできません。

分からなかったこと

レボリュートの一次発表は取れませんでした。状態ページと思われるstatus.revolut.comには、本稿の取得時点で名前解決ができず、接続できませんでした。そのため、記事にある復旧数の母数が何を数えた値なのかは確認できていません。記事の「グーグルクラウドのインフラ障害により」という因果を誰が述べたのか、記事からは分かりません。障害が及んだという「金融機関や公共機関」の名前も確認できていません。Googleの状態ページで終了時刻が07:00と07:05の2通りに表示される理由は不明です。原因の詳しい分析は、Googleが予告した公表を待つ必要があります。

出典

  • Google Cloud Service Health「Multiple services are experiencing issues in the europe-west2 region.」インシデントID Xs2XTHzAVC9YnafnPyzj(開始 23:08 PDT、終了 07:00 PDT)https://status.cloud.google.com/incidents/Xs2XTHzAVC9YnafnPyzj
  • Google Cloud Service Health トップページhttps://status.cloud.google.com/
  • Investing.com日本語版「レボリュートのサービスが復旧開始、グーグルクラウド障害を受け」 02:16公開 https://jp.investing.com/news/stock-market-news/article-93CH-1718197
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。

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