2026年秋、阪神タイガースが育成選手6人と来季の契約を結ばないと発表しました。
プロ野球全体では「12球団で80選手に通告、戦力外は74選手」という集計も出ています。
ただ、NPB(日本野球機構)が毎年公表している戦力外・引退選手の集計は数え方が異なります。
NPBの基準を当てはめると、阪神の6人のうち対象になるのは3人です。
この記事では、阪神の発表と報道の集計、NPBの公式統計を並べ、それぞれが何を数えているかを確かめます。
何が報じられたか
デイリースポーツによると、阪神タイガースは2026年9月29日、育成選手の松原快投手、伊藤稜投手、アンソニー・マルティネス投手、戸井零士内野手、ジーン・アルナエス内野手、スタンリー・コンスエグラ外野手の6人に、来季の契約を結ばないことを伝えたと発表しました。
ベースボールチャンネルも翌日の9月30日に同じ6人を報じ、見出しで「外国人3人もチーム去る」と書いています。
外国人選手はマルティネス、アルナエス、コンスエグラの3人です。
引退では、西勇輝投手と岩貞祐太投手の引退セレモニーが阪神タイガースの公式サイトで告知されました。
岩貞投手は2026年10月7日、西投手は10月8日に実施済みです。
今回の検出元は、高校野球ドットコムが2026年10月7日に掲載した12球団の戦力外・引退一覧です。
リード文には、10月6日のソフトバンクの発表で「12球団合計で計80選手が通告され、74選手が戦力外となった」と書かれています。
支配下選手の戦力外をまだ発表していない球団として、阪神・西武・日本ハムの3球団を挙げています。
阪神の欄は「引退(西、岩貞)」と「育成選手・戦力外(6人)」の2つに分かれています。
原典に当たる
戦力外の人数を語るとき、出どころは3種類あります。
1つ目は球団の発表、2つ目は報道機関の独自集計、3つ目はNPBの公式統計です。
3つ目のNPB公式統計に当たります。
NPBは2026年4月27日、「2025年戦力外/現役引退選手の進路調査結果」を公表しました。
対象は「2025年シーズンで戦力外となった選手・現役引退した選手、合計169名」です。
調査ページには、対象から外す選手が明記されています。
「外国人選手ならびに同一球団内で育成選手再契約締結選手を除く」という条件です。
この定義から言えることは3つあります。
第1に、NPBの169名は戦力外と引退の合計で、戦力外だけの数ではありません。
調査ページ上では、戦力外と引退の内訳を確認できませんでした。
第2に、外国人選手は最初から数えていません。
第3に、同じ球団と育成選手として結び直した選手も外れます。
支配下から外れたあと同じ球団と育成契約を結んだ選手は、通告を受けていても169名に入りません。
同じ調査では、169名の進路も割合で示されています。
野球関係が85.21%で、内訳はNPB関係53.25%、その他の野球関係31.95%です。
野球関係以外は10.06%、未定・不明は4.73%でした(2026年4月27日現在)。
NPBには自由契約選手の公示ページもあり、2026年度の「自由契約選手(育成選手)」のページがあります。
確認した時点では、このページに阪神の6人の公示は見当たりませんでした。
表示されていたのは、2026年7月3日付の東京ヤクルトスワローズの1件だけです。
球団が選手に伝える「通告」と、NPBが出す「自由契約の公示」は別の手続きで、時期も違います。
報道の「戦力外」は、ほとんどが前者の通告の段階を数えたものです。
報道との差分
阪神の6人を、それぞれの集計に当てはめると次のようになります。
| 出どころ |
阪神で数える対象 |
人数 |
| 球団発表(デイリースポーツ報道、9月29日) |
来季契約を結ばない育成選手 |
6人 |
| 高校野球ドットコム一覧(10月7日) |
「育成選手・戦力外」欄(引退は別欄) |
6人(引退2人は別) |
| NPB進路調査の定義(2025年版の基準) |
外国人と同一球団の育成再契約を除いた戦力外・引退 |
日本人選手3人+引退2人(基準を当てはめた場合) |
差は数え方の範囲から生まれています。
報道の一覧は、来季に契約を結ばないと伝えられた選手を国籍に関係なく数えます。
NPBの進路調査は、日本の球界で次の進路を追う対象として、外国人選手を最初から外しています。
阪神の6人は半分が外国人選手なので、この差がそのまま人数に出ます。
12球団の合計にも同じ構造があります。
高校野球ドットコムは「80選手が通告され、74選手が戦力外」と、2つの数字を並べています。
この差6人の内訳は、記事のリード文からは読み取れませんでした。
引退を戦力外から外したのか、育成での再契約を外したのか、別の基準なのかは不明です。
年齢の書き方も媒体ごとに分かれていました。
デイリースポーツとベースボールチャンネルは戸井選手を21歳とし、高校野球ドットコムは22歳としています。
基準日(報道日時点か、その年の満年齢か)の違いで起きるずれと考えられます。
ただし、各媒体の基準は記事からは確認できませんでした。
なぜそうなったか
「戦力外」は、野球協約の条文にある用語をそのまま使った集計名ではありません。
報道機関・NPB・球団が、それぞれの目的に合わせて範囲を決めて数えている言葉です。
報道の一覧の目的は、どの選手がチームを去るかを読者にもれなく伝えることです。
そのため国籍で選手を外す理由はありません。
通告の期間中は毎日数字が更新されるので、「何人目か」という途中経過の数も記事になります。
高校野球ドットコムの一覧が「6日まで」と区切っているのも、この速報の構造によるものです。
NPBの進路調査は、セカンドキャリアを支援する施策の資料という位置づけです。
外国人選手の多くは帰国や他国リーグへの移籍で日本国内の支援の対象から外れるため、定義の段階で除かれます。
同じ球団と育成で再契約した選手も、所属が変わらないので進路を追う必要がありません。
数える目的が違えば、同じ6人でも数字は変わります。
報道の時期も関係しています。
高校野球ドットコムの記事は、阪神の支配下選手の戦力外がまだ発表されていない時点で書かれています。
阪神の欄が育成と引退だけになっているのは、阪神の決定がそこで止まっているからではありません。
記事が出た日に発表されていたのが、そこまでだったという意味です。
阪神の支配下選手について、記事掲載後に動きがあったかは今回確認できていません。
読む側が「阪神の戦力外は何人か」と問うときは、どの日付で、誰が、どの範囲を数えたかの3点を押さえる必要があります。
この3点がそろって、はじめて数字どうしを比べられます。
分からなかったこと
阪神タイガース公式サイトの「お知らせ」一覧では、9月29日付の育成6選手に関する球団発表そのものを見つけられませんでした。
そのため、球団発表の内容は報道を経由して確かめています。
高校野球ドットコムの「80選手」と「74選手」の差の内訳も、記事からは辿れませんでした。
NPBの進路調査は、ページ上で戦力外と引退の内訳を確認できていません。
2026年分の調査はまだ公表されていないので、阪神の6人がどう数えられるかは2025年版の定義を当てはめた推測です。
阪神の支配下選手の通告の有無と、各選手の正確な年齢の基準日も確認できていません。
出典
- 日本野球機構「2025年戦力外・現役引退選手の進路調査結果」2026年4月27日 https://npb.jp/news/detail/20260427_02.html
- 日本野球機構「2025年戦力外/現役引退選手の進路調査結果」(調査対象の定義・進路割合) https://npb.jp/npb/careersupport2026_1.html
- 日本野球機構「自由契約選手(育成選手)2026年度公示」 https://npb.jp/announcement/2026/pndev_released.html
- 阪神タイガース公式「岩貞祐太選手 引退セレモニーを実施しました」2026年10月7日 https://hanshintigers.jp/news/topics/info_11295.html
- 阪神タイガース公式「西勇輝選手 引退セレモニーを実施しました」2026年10月8日 https://hanshintigers.jp/news/topics/info_11299.html
- デイリースポーツ「阪神が戸井、松原、コンスエグラら育成6選手に戦力外通告」2026年9月29日 https://daily.co.jp/tigers/2026/09/29/0020873556.shtml
- ベースボールチャンネル「阪神が育成6選手に戦力外通告…」2026年9月30日 https://www.baseballchannel.jp/npb/292295/
- 高校野球ドットコム「ソフトバンク発表で12球団通告80選手、戦力外は74選手に…」2026年10月7日 https://www.hb-nippon.com/articles/18121
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。
最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。
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