google-site-verification=tSMQ4FQhFx1RDsDFsOm7hyKcAa8tJgpr-DpePxzfGzM 大相撲9月場所、「圧勝」は記録に無い語 | 見出しの手前

大相撲9月場所、「圧勝」は記録に無い語

9月、大相撲9月場所目の結びの一番を伝えた記事は、配信時刻がほどしか離れていないのに、見出しに置いたものが三者三様でした。優勝争いの人数を選んだ記事、中継ゲストの発言を選んだ記事、そしていう評価語を選んだ記事です。取組そのものは一つしかありません。日本相撲協会の公式記録が何を書き、何を書かないかを確認したうえで、各社の見出しとの差を並べます。

何が報じられたか

スポニチアネックスによると、9月、東京・両国国技館で行われた秋場所目の結びの一番で、横綱大の里が西前頭3枚目の美ノ海を押し出しで下し、6勝目を挙げました。同記事は、直前まで1敗で並んでいた7人のうち5人が目に敗れ、1敗が大の里と大関琴櫻の2人に絞られたことを伝えています。

同じ日、NHKは秋場所七日目を放送しました。番組の公式ページは、この回のゲストが俳優の国仲涼子であることを記載しています。放送そのものを扱った記事が、取組のストレート記事とは別に出ました。スポニチアネックス、国仲が沖縄出身の美ノ海に触れた部分を見出しに取りました。日刊スポーツ、国仲の、解説を務めた高田川親方の並べ、見出しの冒頭に置きました。

本稿が題材として拾ったのは目です。同一の放送・同一の一番から、の間に三通りの主役が選ばれたことになります。

原典に当たる

取組の一次記録は日本相撲協会が公開する星取表と取組結果です。幕内の星取表ページ確認すると、表の構造はからまでの15列で、凡例に置かれている記号は○●2種類だけでした。力士ごとの行に入るのは、この2記号と勝敗数です。勝ち方の内訳は取組結果側に決まり手として記録されます。今回の一番であればです。

ここで確認しておきたいのは、記録が持っている項目の範囲です。日付、番付、対戦相手、勝敗、決まり手。この5つが公式記録の列に相当します。内容の程度を表す欄はありません。決まり手は勝ち方の分類であり、差の大きさを測る目盛りではないためです。押し出しという分類は、立ち合いからの秒数、体勢の余裕、相手に何度攻められたかを区別しません。同じ中に、一方的な一番と際どい一番が並んで入ります。つまりいう語に対応する記録項目は存在せず、この語は記録の外側から足されたものです。

場所の枠も記録側で押さえておきます。NHKの番組表には9月に放送が置かれており、目が9月であることと整合します。本場所は間なので、千秋楽は9月です。会場は両国国技館です。

目時点の番付上の位置も記録から読めます。大の里の相手は西前頭3枚目で、大関以上との対戦ではありません。またスポーツナビの番付・場所結果ページには、目を終えた時点で大の里が7勝1敗、西横綱の豊昇龍が0勝0敗8休と記載されています。1敗がついていることと、もう一人の横綱が間休んでいることは、いずれも記録の側にある事実です。

なお、協会公式サイトの星取表は本体のデータがJavaScriptで描画される作りで、こちらが取得した時点では表の中身が返らず、画像のプレースホルダのみでした。そのため本稿は、協会公式の数値を直接引けた部分、スポーツナビの掲載値および複数社の記述が一致した部分に限って数字を扱います。

報道との差分

公式記録 スポニチ 18:06 スポニチ 18:30 日刊スポーツ 18:31
主役 番付と勝敗 優勝争いの人数 中継ゲストの発言 強さへの評価
選ばれた数字 ○●と決まり手 1敗が2人、5人が敗れる なし 6勝目
放送への言及 なし なし 中心 中心
落ちたもの 内容の評価 放送の中身 取組の位置づけ 1敗、相手の番付

選択の面では、が別々の素材を取っています。の記事は順位表の更新にあたる情報、つまり誰が何敗になったかを取りました。の記事はゲストと美ノ海の出身地のつながりを取り、勝った側ではなく敗れた側に光を当てています。の記事は、ゲストと解説者という立場の違う2人が同じ方向の評価を述べた点を取りました。

省略の面では、目が落としたものが最も大きいです。大の里に1敗がついていること、目の相手が平幕であること、西横綱が休場中であることは、いずれも記録に書かれていますが、この記事の見出しとリードには入りません。いう発言は、対戦相手の分布を含まない言い方です。

強調の面では、記録に対応しない語が前に出ています。決まり手の分類にも星取表の記号にも存在しません。押し出しという記録と、番組での2つの発言を結びつける役割を、この語が担っています。

なぜそうなったか

差が生まれた理由は、放送が二種類の素材を同時に出すという構造で説明がつきます。取組の結果は各社が同じものを受け取ります。星取表に載る情報は一つなので、ここで差はつきません。一方、スタジオの語りは長さがあり、どの発言を取るかで記事が変わります。同じ出演から、応援の言葉も、強さへの評価も、出身地の話も引けます。差をつけられる素材は語りの側にあり、見出しがそちらへ寄るのは自然な帰結です。

もう一つは、記事が置かれる面の役割です。相撲を扱う面には、場所の進行を追う義務があります。誰が何敗で、何人に絞られたか。の記事がこの形になっているのは、順位表としての機能を担っているからです。放送の出演者を扱う記事は、主語が出演者になります。国仲の発言が見出しに来るのは、その面の書式に沿った結果です。日刊スポーツの記事は両方をまたぐ位置にあり、取組と放送をに収めています。いう語は、その2つを1つの見出しでつなぐ接続点として機能しています。

資料からは確認できないため推測になりますが、この語が読者に通じるのは、記録の欠けた部分を読者が補うためだと考えられます。押し出しという分類だけでは内容が分かりません。そこに立場の違う2人が同方向の評価を述べたという事実が重なると、程度を表す語が入る余地ができます。発言の内容を歪めているわけではなく、記録が持たない次元の情報を、番組の評価で埋めている形です。

ここで意図を断定することはしません。確認できるのは、記録と見出しの間にいう一段が挟まっていること、そしてその段が入ると同時に、1敗・相手の番付・もう一人の横綱の休場という記録側の情報が見出しから外れることです。評価語は情報を足す働きをしますが、同じ幅の情報を押し出します。

分からなかったこと

日本相撲協会公式サイトの星取表と決まり手の一覧は、本体がJavaScriptで描画される作りのため本文を取得できませんでした。協会が定める決まり手の総数は本稿では書きません。大の里の1敗がどの日についたのかも特定できていません。スポーツナビの星取表から抽出した日別の結果が、同じページの通算成績数が合わなかったため、敗戦の日付と相手は扱いませんでした。豊昇龍の休場理由も確認できていません。国仲涼子と高田川親方の発言は、各社が引用した範囲しか確認できておらず、放送全体でどう話されたかは検証していません。

出典

  • 日本相撲協会9月確認。表の構造と凡例のみ取得、データ部は未取得 https://www.sumo.or.jp/ResultData/hoshitori/1/1/
  • NHK9月放送 https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-Z8WRRJ9K96/ep/P8QRG4439V
  • NHK9月放送 https://www.web.nhk/tv/pl/schedule-tep-g-20260913/ep/ZVPXNMG3MN
  • スポーツナビ9月時点の表示 https://sports.yahoo.co.jp/sumo/basho/
  • スポーツナビ9月確認 https://sports.yahoo.co.jp/sumo/basho/202609/hoshitori/332
  • スポニチアネックス9月配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/c4a75a610264000e7c5b52f866f98a20d8b5c2bd
  • スポニチアネックス「大相撲中継登場の国仲涼子力士明かす」9月配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/df37a25aed399c612e73576c34db57b059f0d19f
  • 日刊スポーツ「大の里の圧勝に国仲涼子高田川親方も」9月配信 https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202609190001264.html (Yahoo!ニュース配信版 https://news.yahoo.co.jp/articles/3b68591a7afa805647d54fc47f7ae94a088d5407 )
※本記事は報道・公開情報をもとに作成した速報であり、内容が後に更新・訂正される場合があります。最新かつ正確な情報は、一次情報や公式発表をご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました